カチカチとぶつかり合う価値観② | 桜の樹

カチカチとぶつかり合う価値観②

その先生が私に言ったのは、


『サクラちゃん、お料理が好きって言ってたでしょ?

これが成功すれば、自宅で料理教室だって開ける!!

マンションの一室を自分の好きなように改造して生徒さんを呼んで・・・。

ねっ、素敵だと思わない?』


という内容のことでした。

お邪魔してすぐ、お茶を頂きながらの雑談の中で話したことを引っ張ってきての

台詞だったのですが、自分の夢---というか大事にしていることを利用して

営業トークされていることがものすごく耐えられなくて。

『初対面のあなたに何が解るんですか?』と言って突っぱねたかった・・・けど

できませんでした。

ただ口の中がひどくカラカラに乾き、そればかりが気になっていました。

そのあとは日用品について他社の製品との比較実演を見せられて、

『気に入ったものがあれば今すぐにでも』という言葉に『じっくり検討してみます』と、

はっきりとした決断はできずにマンションをあとにしました。


・・・


どうして私なんだろう。

今まで仲良くしてたのは嘘だったの?

具合が悪い時に飲み物を持ってきてくれたのは?

なんでそんなこと笑って言えるの?

利用された。裏切られた。

そもそも最初から友情はあったの?

友達だと思ったのは私だけ?

・・・いや、


彼女は本当に自分が気に入ってるものを純粋に勧めてるだけなんじゃない?

無理やり印鑑つかされたわけじゃないし。

義理で少し買ってあげて、私自身が他人に勧めなければ良いんじゃない?

確かに品質は良かったかも。

これって被害妄想?

友達は素直だから、先生の言うことを聞かされてるだけじゃない?

私が、目を覚まさせてあげるべきなんじゃない?



バスの中で、たくさんのことを考えて考えて左胸の奥がギュウッてつぶれてしまいそう。

好きな人の正義が、私の正義と違っている・・・。


時が過ぎ今日まで、何回かお招きの誘いがありましたが断っています。

固まりつつある気持ちは、自分は関わりを持たない。信じるものは皆違うから、

友人を説得するとかもしない。だけどもし肉親だったらとめると思う。こんな感じです。

それでも、結ばれたと思った繋がりを自分から断ち切るのは本当に苦しいです・・・。





今はまだ雨が降る度に思い出して左胸がすくむ感じがするけれど、

梅雨が終わる頃にはここから遠くの場所に居られると良い。


笑い話にしてしまえる位、

もっとずっと離れたところに立っていられますように。