雨。
傘を忘れた僕。
小雨だからと
とほとほ歩いた。
君は車の窓から身を乗り出し
『乗ってく?』
あぁ、濡れてしまうから早くお入りよ。
『逆方向だから、いぃよ』
僕はまた歩いた。
したら、君はわざわざ車から降りて僕の元に駆けてきた。
『使ってよ』
君が差しだした百均の折り畳み傘。
『どうせ百円だしすぐ壊れるから』
嬉しかった。
純粋に嬉しかった。
僕にはその傘が百円以上の価値があるように感じた。
車に駆け戻る君。
あぁ、僕はなんて幸せなんだろう。
傘を差すほどの雨じゃなかった。
濡れて帰りたい気分だった。
なんて言ったらただの強がりに聞こえるよね。
君の気持ちが上辺だけのものだとしても
とてもとても温かかった。
僕は幸せだよ。