司馬遼太郎(2002)『翔ぶが如く(六)(七)(八)』文春文庫
翔ぶが如く〈6〉 (文春文庫)/司馬 遼太郎

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翔ぶが如く〈7〉 (文春文庫)/司馬 遼太郎

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翔ぶが如く〈8〉 (文春文庫)/司馬 遼太郎

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ここにきて政府軍・薩軍間における価値観の相違が極値に達している。
価値観ということで考えてみると、薩摩人の精神の根本には「武士道」という価値観がある。古来、日本的封建風土の中で多くの武士の中で「武士道」に生きることこそが美しいとされてきたのだが、それは明治初頭の薩摩人の精神において、「宗教的」といえるまでに大成を見ているようにみえる。その一方、明治政府側の大久保、川路、伊藤らが築かんとする価値観は、日本においては珍奇で新しく、未成熟なものだ。だが、彼らはその新しい価値観こそが日本を国際的な意味での「近代国家」として引き上げる、と確信している。フーシェに対する川路の傾倒もみても明らかであるように、その確信もまた宗教的であるといえる。
このように両者ともに、宗教性すら漂わせた価値観への傾倒がみられる。これにまず驚かされる。更にいえばその彼らの信心深さがもたらした衝突が西南戦争であるのだが、その戦いの序章として本巻で描かれるのは、あまりにも愚鈍な薩軍の姿だ。同情の余地などどこにもないほどに愚直な薩摩人たち。彼らをこれほどまでに鮮烈に描ききった筆者の思いはどこにあるのだろうか。次巻、この長い物語はいよいよ終幕を迎える。

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ここにきて政府軍・薩軍間における価値観の相違が極値に達している。
価値観ということで考えてみると、薩摩人の精神の根本には「武士道」という価値観がある。古来、日本的封建風土の中で多くの武士の中で「武士道」に生きることこそが美しいとされてきたのだが、それは明治初頭の薩摩人の精神において、「宗教的」といえるまでに大成を見ているようにみえる。その一方、明治政府側の大久保、川路、伊藤らが築かんとする価値観は、日本においては珍奇で新しく、未成熟なものだ。だが、彼らはその新しい価値観こそが日本を国際的な意味での「近代国家」として引き上げる、と確信している。フーシェに対する川路の傾倒もみても明らかであるように、その確信もまた宗教的であるといえる。
このように両者ともに、宗教性すら漂わせた価値観への傾倒がみられる。これにまず驚かされる。更にいえばその彼らの信心深さがもたらした衝突が西南戦争であるのだが、その戦いの序章として本巻で描かれるのは、あまりにも愚鈍な薩軍の姿だ。同情の余地などどこにもないほどに愚直な薩摩人たち。彼らをこれほどまでに鮮烈に描ききった筆者の思いはどこにあるのだろうか。次巻、この長い物語はいよいよ終幕を迎える。