吉本隆明『ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ』大和書房
ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)/吉本 隆明

¥600
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本書では、筆者の他著とは打って変わったような平易な言葉で若者、恋愛、いじめ、死、戦争等について語られている。こんなにもカジュアルな言葉で淡々と自分の主義主張を表現していく筆者の姿には、誰しもただただ聞き入ってしまうことだろう。
筆者は、いわゆる「ひきこもり」をほぼ全面肯定している。過剰といっても決して言い過ぎではないほどに肯定している。それは、きっと筆者は世間のひきこもりに対する風潮、つまりひきこもりを必要以上に問題視する傾向に黙ってはいられなかったのだろう。そして、ひきこもりでないこと、例えば社交的なこととはそれほど評価されるべきことなのか、と現代社会に疑問を呈している。勿論社会に出て人と接することは、自分にとっても相手にとっても得るべき所が多いのは間違いないだろう。しかし、それは絶対の価値基準ではない。大事なのは両者のバランスである。なぜなら、人との係わり合いの中では「意味」しか生まれない。だが「価値」の増殖が起こるのは、一人でひっそりと内密に考えているときだけである、とする筆者の主張には思わず考えさせられてしまった。
本書を読んでいると、思い返せばひきこもってばかりであった自分の人生が少し褒められているように感じられて、どこかこそばゆくなってしまった。ひきこもりにも、ひこもらない人にも気晴らしに是非読んでもらいたい一冊である。

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本書では、筆者の他著とは打って変わったような平易な言葉で若者、恋愛、いじめ、死、戦争等について語られている。こんなにもカジュアルな言葉で淡々と自分の主義主張を表現していく筆者の姿には、誰しもただただ聞き入ってしまうことだろう。
筆者は、いわゆる「ひきこもり」をほぼ全面肯定している。過剰といっても決して言い過ぎではないほどに肯定している。それは、きっと筆者は世間のひきこもりに対する風潮、つまりひきこもりを必要以上に問題視する傾向に黙ってはいられなかったのだろう。そして、ひきこもりでないこと、例えば社交的なこととはそれほど評価されるべきことなのか、と現代社会に疑問を呈している。勿論社会に出て人と接することは、自分にとっても相手にとっても得るべき所が多いのは間違いないだろう。しかし、それは絶対の価値基準ではない。大事なのは両者のバランスである。なぜなら、人との係わり合いの中では「意味」しか生まれない。だが「価値」の増殖が起こるのは、一人でひっそりと内密に考えているときだけである、とする筆者の主張には思わず考えさせられてしまった。
本書を読んでいると、思い返せばひきこもってばかりであった自分の人生が少し褒められているように感じられて、どこかこそばゆくなってしまった。ひきこもりにも、ひこもらない人にも気晴らしに是非読んでもらいたい一冊である。