福島清彦(2002)『ヨーロッパ型資本主義―アメリカ市場原理主義との決別』講談社現代新書 | Winterecord

福島清彦(2002)『ヨーロッパ型資本主義―アメリカ市場原理主義との決別』講談社現代新書

ヨーロッパ型資本主義―アメリカ市場原理主義との決別 (講談社現代新書)/福島 清彦

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 日常において何かと「欧米」という単語でアメリカとヨーロッパをまとめて しまいがちであるが、その両者の違いや、またヨーロッパの中でも各国間にそ れぞれの歴史的経緯などに基づいた多様な資本主義の形があるということを知 る上で本書は大変興味深かった。アメリカ型の市場原理主義とはまったく異な る社会的な資本主義を確立したヨーロッパは、充実した福祉により、差別・貧困問題を改善し社会としての包容力を高めることに成功することだろう。それは、結果的に人々の能力向上へと繋がりよりよい雇用を創出することをも意味する。そうしたヨーロッパ各国の努力の成果は、グローバル資本主義へと対抗する際の、有効な武器となるであろう。
 また多様な資本主義を知ることは、私たちが生きる日本の資本主義モデルそ れ自身の特徴と意義を再確認し、より深い理解を得ることでもあった。さらに 言えば、これから人口が減少の一途を辿るであろう日本において、アメリカ型 の成長至上主義から脱却し量的拡大より質の充実を求めるヨーロッパの発想は 、決して他人事ではないと感じた。