司馬遼太郎(1996)『新選組血風録』中公文庫 | Winterecord

司馬遼太郎(1996)『新選組血風録』中公文庫

新選組血風録 (中公文庫)/司馬 遼太郎

¥980
Amazon.co.jp

 組織の末端たる隊士それぞれに、視点を合わせて語られる諸篇。

 ほんの百四十年ほど前のことなのに、この時代に対する私のイメージは昔の絵巻物に移っているような、ほとんど「白黒」の世界であった。なんとかこの想像に色付けをしようとしても、血の色ぐらいしかこの時代に対しては思い浮かべない。
 そんな私だが、本編を読むことで、彼らの世界にある「色」を少し実感したような気がする。読みながら、新撰組だけでなく京に生活する人々の価値観、執着、性癖をぼんやりと描くことができたのだ。その想像した世界は、この世界が積み上げてきた過去のなかの、ほんの微かな一瞬に過ぎない。しかしそれでも、本編に触れることで私の中にある未知なる妄想世界を多少なりとも広げられたことは、とても感慨深いことである、と感じた。