司馬遼太郎(2005)『功名が辻』文春文庫 | Winterecord

司馬遼太郎(2005)『功名が辻』文春文庫

功名が辻〈1〉 (文春文庫)/司馬 遼太郎

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功名が辻〈2〉 (文春文庫)/司馬 遼太郎

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功名が辻〈3〉 (文春文庫)/司馬 遼太郎

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功名が辻〈4〉 (文春文庫)/司馬 遼太郎

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 戦国時代を生きた女性「千代」の目線で、その時代の躍動を捉えた作品。
 戦国の世を「功名」がために駆け抜ける男たちを尻目に、そんな彼らを背中から見守ると同時に、冷静に男の生き様を分析している女性、それが筆者の描く「千代」である。
 「千代」は、優れた男性に憧れるありふれた女性。だからこそ、夫一豊だけでなく、時に秀吉を、時に家康を注意深く観察していた。それは、言ってしまえば街中で男を品定めする利発な現代女性と何一つ相違なき姿である。そして、その経験から多分に目の肥えた「千代」にとって、一豊は物足りない、夫であった。そんな彼が、「ただ律儀である」というたった一つの武器をこの狂乱の時代をのし上がっていく。わたくしはその処世術の在り方に大きな学びを得た。
 また、一豊に飽きれながらも、一方では強く愛していた「千代」に女性の恐ろしい多面性をみた。一方で深い愛を示しながらも、他方では冷酷な視点を持てつことができる。それが、女性というものである。そんなことを感じさせる物語の幕切れだった。