司馬遼太郎(1997)『台湾紀行―街道をゆく40』朝日文庫 | Winterecord

司馬遼太郎(1997)『台湾紀行―街道をゆく40』朝日文庫

街道をゆく (40) (朝日文芸文庫)/司馬 遼太郎

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 本書は、著者が台湾を訪れ、台湾の人びとに接し記されたものである。
 筆者が国家権力に関し福澤の思想を用い、考えを説いたとき、李登輝はこう答えた。

 「シバさん、私は二十二歳まで日本人だったのですよ」

 この一連の応答から、国同士というのは、互いの長い歴史の中に交流や衝突があるだけでなく、そのそれぞれの存在が歴史そのものに埋め込まれ、育まれていくものだ、ということを少し考えた。この場合、日本という存在が台湾の歴史に、というふうに。
 以前、知り合いの韓国人が「韓国では、日本の大学は早稲田と立教が一番有名だよ」と教えてくれたこととも重なった。そのとき、なぜかと問うた。どうやら、戦後、韓国からの留学を特に積極的に受け入れたのがその両校であり、そのときの留学生たちが現在、韓国において政治経済の中核を担っているかららしい。つまりこの場合では、当時の日本の国情が、現在の韓国の世論に移行され、芽吹いていたのだ。

 他国に根付き、息づく日本とその歴史について改めて、意識した。