山崎豊子(2001)『沈まぬ太陽(五)』新潮文庫 | Winterecord

山崎豊子(2001)『沈まぬ太陽(五)』新潮文庫

沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)/山崎 豊子

¥620
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 きな臭い話が延々と続く。「竹丸」も登場する。
 本作、特にこの五巻ではこれでもかと言うほどに、政官民の癒着を見せ付けられる。わたくしはある意味で「御巣鷹山篇」よりもおどろおどろしさを感じた。
 恩地や国見の必死の足掻きも、大勢には何ら影響していない。すべては、雲の上で決定されうるものなのだ。まざまざとそうした描写を見せられると、分かってはいても嫌になってしまう。
 しかし、それでもラストシーンの恩地の生き様には感服させられる。彼は再びナイロビを命じられ、それを自らの意思で受け入れ再度アフリカの地に踏み入れる。そうした強く頑なな人間の意志にこそ、我々の心は突き動かされるのだ。その一方で、それほどの人間の属した国民航空が、五百人超の人間を殺した事故を起こし、未だ癒着の温床となっているところを見る限り、世の無情をただただ思い知らされる。