山崎豊子(2001)『沈まぬ太陽(一)』新潮文庫 | Winterecord

山崎豊子(2001)『沈まぬ太陽(一)』新潮文庫

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)/山崎 豊子

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 試されているのは、恩地の意思。しかし強大な組織・広大な自然の前では、所詮それもちっぽけなものかもしれない。だからこそ、そんな「自分」という存在の儚さを気軽に楽しみながら生きることも意外と、大切なのだ。本作では、そんなちっぽけな人間と、それを食い物にして生きている人間の両者が生々しく描かれている。
 この、劇中の演出としか思えないほどの生々しさに信憑性を感じるほうが無理というものだ。どこからが真実で、どこからが演出なのか、わたくしには判別し得なかった。その危うさにわたくしは初めて、筆者の作品からおぞましさを感じてしまった。