福翁自伝
福沢諭吉著作集〈第12巻〉福翁自伝・福沢全集緒言/福沢 諭吉

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入学記念として配られて以来、後生大事に持っていた福翁自伝を開く日がついにやってきた。私がこの本を通してまず痛烈に感じたことは、福澤諭吉の感情の豊かさである。私にとって、福澤諭吉は一万円札の顔であり、創立150年近い慶応義塾の創設者であるというある意味、「化石化」した偉人であった。そんな福澤諭吉がどんな境遇に生まれ、何に触発・反発し、何を感じていったのかということを私は今までまったく想像することができなかった。しかし、福翁自伝で語られる福澤諭吉はなんと生き生きと描かれていることだろうか。下級士族の息子として育てられた幼少期に抱いた、故郷への無頓着さ・憤り。大阪・適塾時代、仲間たちと学生生活を満喫する中で、学問において一心不乱に切磋琢磨し、見付けた学ぶことへの喜び。欧米渡航によって得た様々な驚き・発見。両親への尊敬の念。こういった幼少期から青年期にかけての思い・経験が「福澤諭吉」を築きあげたのだろう。だからこそたとえ国内情勢によって自らの命が狙われることなっても、確固たる自分を貫くことができたのではないか。
また、福翁自伝の中でも私が特に印象に残ったのは、福澤諭吉が適塾時代に「目的なし」に勉強するということがいかに大事かということを感じた話である。「目的なし」とは今後の自身の立身出世のことばかり考えて勉強に励むのではなく、「おのずから静かに」真正面からその学問に向き合うということだろう。これは、現代の大学が就職予備校化・資格予備校化へと進み、大学生の間においても実利的な志向が高まるばかりの昨今において、右往左往している私自身への大きな示唆となった。大学入学後にみた様々な現実に戸惑っていた私に対してこの言葉は、どっしり腰を据えて、力を蓄えるべく心置きなく真正面から学問へとぶつかっていけと背中を押してくれたように感じた。
ようやく、この本が入学時に全学生へと配られる意味に少し気付けたような気がする。

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入学記念として配られて以来、後生大事に持っていた福翁自伝を開く日がついにやってきた。私がこの本を通してまず痛烈に感じたことは、福澤諭吉の感情の豊かさである。私にとって、福澤諭吉は一万円札の顔であり、創立150年近い慶応義塾の創設者であるというある意味、「化石化」した偉人であった。そんな福澤諭吉がどんな境遇に生まれ、何に触発・反発し、何を感じていったのかということを私は今までまったく想像することができなかった。しかし、福翁自伝で語られる福澤諭吉はなんと生き生きと描かれていることだろうか。下級士族の息子として育てられた幼少期に抱いた、故郷への無頓着さ・憤り。大阪・適塾時代、仲間たちと学生生活を満喫する中で、学問において一心不乱に切磋琢磨し、見付けた学ぶことへの喜び。欧米渡航によって得た様々な驚き・発見。両親への尊敬の念。こういった幼少期から青年期にかけての思い・経験が「福澤諭吉」を築きあげたのだろう。だからこそたとえ国内情勢によって自らの命が狙われることなっても、確固たる自分を貫くことができたのではないか。
また、福翁自伝の中でも私が特に印象に残ったのは、福澤諭吉が適塾時代に「目的なし」に勉強するということがいかに大事かということを感じた話である。「目的なし」とは今後の自身の立身出世のことばかり考えて勉強に励むのではなく、「おのずから静かに」真正面からその学問に向き合うということだろう。これは、現代の大学が就職予備校化・資格予備校化へと進み、大学生の間においても実利的な志向が高まるばかりの昨今において、右往左往している私自身への大きな示唆となった。大学入学後にみた様々な現実に戸惑っていた私に対してこの言葉は、どっしり腰を据えて、力を蓄えるべく心置きなく真正面から学問へとぶつかっていけと背中を押してくれたように感じた。
ようやく、この本が入学時に全学生へと配られる意味に少し気付けたような気がする。