山崎豊子(1983)『不毛地帯(一)』新潮文庫 | Winterecord

山崎豊子(1983)『不毛地帯(一)』新潮文庫

不毛地帯 (1)/山崎 豊子

¥860
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 シベリアでの抑留生活を回想する主人公、壱岐。

 圧倒的な不条理が日常にあった経験、それが壱岐にとっての抑留生活であった。人間としての尊厳など、とうの昔に奪われている。それでも、彼が守ろうとしたものは、「軍人としての誇り」であった。彼にとって、それは自らの命より重く、彼の生を支えてきた唯一の理由であったのだ。

 ここまでが本巻の主たる内容である。以後、商社マンとして第二の人生を歩みだした壱岐は、先述した「軍人としての誇り」を削られ続け、失い続けるのだと思う。そこで自己矛盾に駆り立てられた彼は、何を思うだろう。

 強固たる体制支配の在る中で、特異な二つの時代・世界を生き抜く男の葛藤をいかに描くのか、これが本作の見所であるように思う。



 壱岐さん、古き良き武士みたいでかっこよす!(´・ω・`)笑