山崎豊子(1980)『華麗なる一族 下』新潮文庫
華麗なる一族〈下〉 (新潮文庫)/山崎 豊子

¥780
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取り下げられる告訴。鉄平の自殺。明らかになる新事実。そして、誕生する新銀行。崩壊した「華麗なる一族」はどこへ向かうのか。昭和の金融界を描いた長編大作、ここに完結!笑
大介と鉄平は実の親子であった。この事実は、筆者なりの万俵親子への愛であったように思う。両者がたとえどんなに悲痛な関係になろうとも、ただ親子でありさえすれば最後には最期には必ずお互いに赦し合えただろうと思う。なのに、鉄平はこの世にはもういない。大介にとって辛く厳しいこの現実が、物語をより一層悲劇的なものに仕立て上げている。筆者は大介への共感すらを意図して、この悲劇を描いたのではないだろうか。
考えてみれば、作品を通して筆者は「大介」という人間を決して否定していない。ここまで時間をかけて描いた「悪」の存在を、必死に受け止めようとさえしている。それが、この物語をよりいっそう深淵なものとしている。勿論、それは物語の演出上の操作なのかもしれないが、この「悪」を否定しないこと、これが筆者なりの「人間」の描き方なのかもしれない。

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取り下げられる告訴。鉄平の自殺。明らかになる新事実。そして、誕生する新銀行。崩壊した「華麗なる一族」はどこへ向かうのか。昭和の金融界を描いた長編大作、ここに完結!笑
大介と鉄平は実の親子であった。この事実は、筆者なりの万俵親子への愛であったように思う。両者がたとえどんなに悲痛な関係になろうとも、ただ親子でありさえすれば最後には最期には必ずお互いに赦し合えただろうと思う。なのに、鉄平はこの世にはもういない。大介にとって辛く厳しいこの現実が、物語をより一層悲劇的なものに仕立て上げている。筆者は大介への共感すらを意図して、この悲劇を描いたのではないだろうか。
考えてみれば、作品を通して筆者は「大介」という人間を決して否定していない。ここまで時間をかけて描いた「悪」の存在を、必死に受け止めようとさえしている。それが、この物語をよりいっそう深淵なものとしている。勿論、それは物語の演出上の操作なのかもしれないが、この「悪」を否定しないこと、これが筆者なりの「人間」の描き方なのかもしれない。