昔、オリンピックの女子ランナーで、自分のお誕生日を知らない選手がいて日本人を驚かせていたことを不意に思い出す。教会でも、子供の初聖体式の証明がないと小学校へ入学できないから証明書を発行してくれという問い合わせがある。

 

だけど、そんな記録はどこにもない。

 

せめて典礼部長の手帳に記録が残ってないかと問い合わせたが、アフリカから短期間日本に滞在していて、初聖体式の日ではなく、勝手に神父に頼んでそれを初聖体式にしてしまったらしく、教会に問い合わせがあっても迷惑。神父さんも別の神父に替わっているため、記憶もない。

 

フィリピンへ異動した神父に問い合わせてもどうせ覚えているわけないんだけど、そういうこともあったかもしれないというだけのこと。

 

そういうことがあって、逆にうちの教会では国際部のカトリック籍を扱わなくなってしまった。

 

海外の教会へ行く際、一番面倒なのが韓国と言われている。洗礼式の日付、担当司祭、ということだけではなくて、教会の活動歴まで書いて提出しなければならない。活動歴がなかったら信者とは言えないのかも。

 

海外から来て、信者ですと言われて、日本人の感覚だとだから何なのさ、と思うけど、結局、学校へ行くにも出生証明書を出してもらうにしても、教会の記録は大切なものらしい。

 

にもかかわらず、うちの教会の場合、すでに死んでしまった人たちの記録がない。誰かが間違えて過去データを消去してしまった。さらに恐ろしいのは、うちの教会に転出してきた信者が籍を移動しようとしたら籍がないと言われたらしい。その人の場合は、結婚式をカトリック教会で挙げていたから、そこの記録からさかのぼって新たに作ったのだろうか。それくらい管理がずさん。

 

日本の場合、役所に記録があるから戸籍がないという話を聞かない。だから、海外の人たちでも戸籍があるほうが普通だと思ってしまう。だけど、うちの教会に限らずカトリックのほうの籍のいい加減さを考えると、自分の洗礼名がどうなっているのか確認したほうがいいとすら言われている。過去帳として考えたら、確か母親の名前を記入する欄があったと思うけど、それ以外は記憶がない。自分で書類を提出しなかったらうっかりカトリック籍を更新するのを忘れられてしまったりして。

 

カトリック籍を証明するのが洗礼式をやってくれた司祭しかいないとなったら、その司祭は私のことを覚えているだろうか? カトリック教会で強いのは、だれそれ神父の知り合いとかそういうことらしいけど、それは教会の中だけの話であって、海外のホテルに泊まる際に、自分はA神父の知り合いだ、で通用すると思う?

 

A神父の知り合いだと言えば、修道院には泊めてくれるかもしれない。

 

だけど、B神父の知り合いだと言われて家に泊めるだろうか?

 

勘弁してほしいよ。不法就労者や麻薬中毒者の更生などをやっている修道会で、そこの修道会のだれそれ神父の知り合いだと言われて家に泊めるのは外国人同士だけかもしれない。日本のオープンハウスのガイドラインではそういうことをやらないことになっているし、ましてや教会を根城にされたらかなわないすら考えている。

 

フィリピン人同士が友達になって不法移民が知り合いの家のキッチンに寝泊まりしながら生活していることもめずらしくない。だけど、日本人はそこまで親切ではない。

 

信者ではあるが、どんな人たちかわからないではないか。

 

自分が逆にそういう立場になったら?

 

ならないように、クレジットカードが通用するところにしか行かないこと。神父の紹介で泊めてもらうより、エクスペディアを利用してディポジットはクレジットカードのほうがまし。

 

海外では死なないようにしようね。

 

日本で死んだベトナム人学生の骨は相変わらず実家の住所も定かでないまま、カトリック墓地の無縁仏用のお墓に何年も放置してからようやく納められた。相変わらず、彼はどこの誰かわからないけど、かろうじて日本の教会で洗礼を受けたからお墓に納まっている。その前は教会のロッカーの中。

 

 

ローマ 4. 1-12