蒲公英の咲かぬと想(も)えば蒲公英のくき短きは一頃の春

憤怒とは来ないだろうと赤い櫛引き出しの中残したるゴム

不幸とは不幸のうえにあぐらかき人騙す春、聖護りの下

マリア像たたずめばそこ開けたればなお激しきは余韻のごとく

憤怒とはいずこともなくやってきて雨風の音聞こえぬ小声


暗がりに家族待ちたる旅人は郷里の名さえ戻れぬことば

中指のバンドエイドのキティさえ気に留める者なく春の下

煉獄でいつまで待つと夕まぐれ問われるほどに日が延びゆかば


(ルカ 5. 27-32)