一昨日、わたしが寝ようとしていると、いや半分眠っていたのだが、マリが2度目の出産を迎えていた。


テンが生まれるときには難産だったし、あちこちの獣医に電話をかけまくった。いざ生まれるとマリはそれだけでぐったりしていて、テンは半分はわたしが育てたような気がする。


ところが、2度目のお産となるとマリは落ち着いているし、わたしも以前とはまるで生活リズムが違うため、夜中になると起きてはいられない。わたしは生まれるかな・・・と思いながらも、うつらうつらしているうちに、不意に犬の赤ちゃんのかぼそい猫のような鳴き声が聴こえて、ナナが生まれたことを知った。ナナというのは、ななしくん、という意味である。ナナは小さい。


今回はマリを獣医に連れて行くヒマがなかったので何匹生まれるかわからなかった。わたしはナナが生まれたのでダンナを起こし、ダンナは喜んで娘を起こした。


わたしはなんだかいやな予感がして、ダンナを起こしたことを後悔し、ほとんど怒っていた。というのは、漠然と今回は2匹生まれるような気がしていたので、まだもう一匹生まれそうな気がしていたから。それなのに、ダンナがマリのおなかを触って、もういない、と言うので、わたしも触ってみたが動いている気配はない。マリは触られるのをいやがって逃げていたが、ナナを見るとすぐにうれしそうな顔をして世話を始めた。


わたしはなぜかとても不機嫌になり、知らん顔をして下の部屋に降りた。すると、娘がマリとナナを抱いて降りてくる。もう、うんざりして心の中で悲鳴をあげていたが、わたしはとても疲れていた。マリの陣痛も止まっていた。


そして、再び部屋が静かになり寝ていたらマリに陣痛が始まった。今度はダンナが起きていて生まれたのを教えてくれたが、眠くて起きられない。が、しかし、数分後、「死んでる」と大きな声がして眼が覚めた。


亡骸をダンナがどうしようと言いながらマリとナナの籠に一緒に入れていた。わたしはそれを少し観て触ってみて動かないので、再び疲れて朝まで眠った。ダンナは仕方なくタオルに包んで下の部屋に子犬の赤ちゃんの亡骸を置いたらしい。


朝わたしより早く起きて亡骸を見つけた娘が子犬を抱いて「何とかならないかなー」とわたしの寝ている枕元に置く・・・

あのなー・・・

生まれたばかりの子犬の亡骸はまるで眠っているようで、もしかすると生き返るかもしれないという感じがした。マリも寄ってきて舐めていたが、ナナのようには反応しない。その瞬間、生まれたばかりで死んでしまい、かわいそうだなーと胸がしめつけられ、無性に腹が立ってきた。あのとき大騒ぎしないで、マリをそっとしておいたらこの子は死ななかったかもしれない。


生と死が同時に発生すると、どうやって反応してよいのかわからない。その後、喜んだり悲しんだりする間もなく睡眠不足のまま仕事に追われ、昼休みに様子を見に戻ったらマリがうれしそうにナナの世話をしていた。


マリのうれしそうな顔を見ているうちに、犬は死を知らないのかもしれないと思った。反応がないと無関心になり立ち去ってしまう。熊に襲われそうになったら死んだふりをしろという話を思い出した。