tenshi4  

風邪ひきて微熱のやうな春風に吹かれて今は半袖を着る

剪定の鋏を入れる吾子(あこ)ながむ思い切りよく勢いの音

ボウリング12ポンドをかろがろと投げてしまふか小柄な吾子は

夫(せ)の刈つた濃淡の色芝草は刈穂の稲のミニチュアのごと

つつじ咲くあざやかな紅そろえたし忘れて去年(こぞ)のコンクリを浴び

ゆらゆらと芝生のうえの水仙は葉だに繁らす工事の瑕か

薔薇の花あきらめていし去年の夏葉は生い茂り今宵の晩は

やきとりに備長炭のかをり立つ春のゆうぐれ休みは速き

静止した時間のなかにとどまればパンパンパンと手の鳴る昼間

学生の立ち並びたる夜のみちお好み焼きの店の前過ぐ

真夜中も変わつてしまつたわが町はのほほのとしてつくばねの春

学生街すこしくゆらす退廃はえにしだの棘ものわするかな



画像: 梓のホームページ