幼い頃から、体が弱かった。
学校は院内学級。
友達は小児病棟にいた。
よく保健室に行ってたから、養護教諭になりたいと、体に無理して、壊れちゃった。

難病患ってるんだって。
それは、先天性かもしれない。
原因は、不明。
症例さえ、なかなか、見つからない。

ステロイドで、アンパンマンみたいに、顔が丸くなった。
次第に、歩けなくなった。
栄養を口から取れなくなった。
鼻チュー入れて、経管栄養を流して、腸ろうを作った。
それさえ、体が受け付けなくなり、痩せてガリガリになった。
点滴で生きる手段を選んだ。
高カロリー輸液を流すようになった。
それによる、感染の敗血症で、生死をさ迷った。
脳に感染した菌が回って、痙攣持つようになって、重積痙攣を繰り返して、挿管して、呼吸器で息をしてた。
気管切開をして、カニューレ入れて、声が出なくなった。
文字盤と、紙にたくさん文字を書いて、会話した。
肝機能が上がって、体が黄色になって、腎機能が上がって、おしっこが出なくなって、心臓のマーカーが上がって、体が水でパンパンになった。
肺炎を繰り返した。
溢れ出る痰を、看護師さんが付きっきりで、吸引し続けて、息をすることに、集中していた。

人生の半分以上が、病院という世界。
次第に、家の日常生活が、病院みたいになった。

すべては、生きるためだった。

死にたいって、思っていた。
心が砕けそうになったことがある。
でも、あたしは、1人にはなれなかった。
どんなに、体が苦しい状態であっても、心の苦しみから逃げる選択をすることは、とても寂しく感じていた。

いつかは、死んでしまうって、知ってた。
仲間の死を、たくさん見てきたから。
それなのに、自分の順番が来るなんて、思ってもみなかった。
ほんの一瞬で、生と死は、繋がる。
ICU のモニターアラームを聞きながら、怖くて、悲しくて、切なかった。

あたしは、かわいそうな人ではない。
特別な人生でもない。
乗り越えられる選ばれた人だけが、与えられる、運命なんかではい。

生と死の境界線の1ミリを、想像さえできずに、過ごしてるより、有意義な毎日を送ってるかもしれない。
病気を嘆いて、死にたかった頃の、自分自身よりも。

病気と付き合う人生は、もしかしたら、大変なのかもしれない。
いつかは、いつなのか、明日なのが、それは、わからないけれど、本当に死んでしまう時まで、退屈に生きたいものだ。

「人生は、暇潰し。」
その、幸せに、気づいたから。
意味のないことを、繰り返したい。
生きる意味を探すことをやめて、自由になりたい。

来世があるならば、あたしは、空を飛ぶ、鳥になりたい。
海を泳ぐ、イルカになりたい。
人間が知らない、世界を知りたい。

与えられた人生を、これまで、歩んできた。
それも、奇跡であり、立派じゃないか。
だって、生まれてから、今日という日まで、生きてきたんだから。

生きること。
当たり前であるかのように、今を生きる命は平等に、当たり前なんかではないのだ。