久々に、見ごたえのある朝ドラでした。もう来週からはないのか…と思うと、脱力してしまいます。
自分の子ども時代を思い出させてくれる部分と、家族とか生きていくのに大切なことって何なのかとか、毎朝見ながら、そして観た後に、つらつらと考えることのできるドラマでした。
背が高いことがコンプレックスの布美枝役の松下奈緒さん。本当に背が高くて、他のドラマでも共演する俳優さんが小さく見えてしまって、透明感のある女優さんなんだけど、もう少し小さかったらなあと思っていたのですが、背の高さがこんな形で生かされる役に出会えて、よかったですね。
あっという間にお嫁入りが決まり、行った先の家のボロなこと。質屋がよいをするような貧乏生活に、観ていてハラハラ、心配でしたが、だからこそ、長い貧乏生活の後に日の目を見るようになる展開になんともいえない爽快感を感じました。努力したことが報われるというのは、大切なことだなあと。
才能ある漫画家が世に出るまでの、貸本屋さんや、編集者、テレビのプロデューサ―、後の方はアシスタントたちなどのサポートの様子も緻密に描かれていて、その時代の空気を身近に感じられたのも、感動的でした。
いい人ばかりだった登場人物の中で、浦木と菅ちゃんは、ちょっと変わり種で印象的でした。特に浦木は、出てくるたびに「また余計なことを」と舌打ちしたくなるようなキャラで、人のいい村木夫妻はいいように振り回されてしまうのかなと思ったら、振り回されはするけれど、言うことはビシッと言い、つけ入れられるわけではないんですね。けれど、相手にしない、つきあわないというわけではなくて、訪ねてくればちゃんと相手をしてあげていて、そこに村木夫妻の懐の深さを感じていました。ねずみ小僧のモデルなんですよね。自分に理解できない鬱陶しい存在も、面白いと感じる感性がすごいです。菅ちゃんは、最初絵は下手だし、ヘマばかりしてこちらも鬱陶しかったはずなのに、茂は来るなとは言いませんでした。
そういう懐の深さは、戦争での体験もあるのかもしれないし、茂自身のまわり道の多かった人生ゆえの優しさだったのかもしれませんね。今の時代はそういう人をあまり見ないので、とても新鮮に感じます。
夫妻でそれぞれ自伝的なものを書いていたので、ドラマにしやすかった部分もあったんでしょうか。ひとつひとつの台詞が、ハッとしたり心に沁みるものが多かったです。
ミーハー的な部分の好みでは、向井さんがとても素敵でしたし、第1期のアシスタント時代は超豪華なラインナップで観ていて幸せな時代でした。アシスタントの倉田さん、小峰さん、雄玄社の豊川さんが特に(〃∇〃) 最後のパーティでまた逢えてうれしかったです。
茂と布美枝の両親みんな、大好きだったので、修平が亡くなった時はとても悲しかったし、源兵衛が脳梗塞で倒れて弱った姿を見るのが辛かったです。親はいつまでも元気でいてくれるような気がしてしまうものですが、いつかはこういう日がやってくるのですね。
家族の死を悼みながらも、「まだまだこれからだ」と言う茂と笑顔で答える布美枝。これからも変わらず続く2人の生活を思い浮かべながら、自分もがんばろうと思いました。
「見えんけど、おる。」
そういうものを漫画で描くだけではなく信じている、そういう世界観っていいですね。古来、日本人はそういうものを大切にする美意識があった気がします。
生活が洋風化して、暗闇のなくなった今の日本人の生活を見ていると、こんな所に鬼太郎も妖怪も、いそうな感じがしないなあ、もう住めないのかもと過去思った時期もありましたが、そんなことはないのかもしれないなあと、このでラマを観ながら思ったことでした。