ザ・マジックアワー | 甲羅に似せて

甲羅に似せて

蟹は甲羅に似せて穴を掘るそうです。私も日々の想いを
蟹が穴を掘るように綴っていけたら・・・。

三谷幸喜さんのことを思い出すとき、何かの番組で、爆笑問題の太田さんが、日芸の先輩である三谷さんへの屈折した想いを熱く語っていた事を思い出します。太田さん在学の頃すでに、日大では、三谷さんは伝説的なひとだったんですね。それまで、和田誠氏のイラスト入りの軽いタッチのエッセイでしか、三谷さんを知らなかったので、そのギャップにとまどいました。


いやというほど、映画公開前には番宣に出るので、すごく短期間に目にする事も多いのですが、人なつこいのか気難しいのか、よくわからないところが観察しがいがあります。モジモジくんに出ていたときは、さすがにちょっと引きました。面白かったけど。


それで、三谷作品というと、作品そのものに白紙で入っていくより、三谷さんがどういう気持ちで作ったのか、あてがきと言われる役者さんたちに、何を期待していたのかなどということが、ついつい、頭をよぎったりします。


あれこれ思いながら見始めたこの作品でしたが、いい役者さんが揃っていて、その人たちが思わぬところでいろんな光を放つところが、三谷作品の面白い所だなあと思いました。


売れない役者の村田大樹役を演じる佐藤浩市さんも、役にハマっていて魅力的でしたが、暗黒街のボス役の西田敏行さんが、とってもかっこよくて素敵でした。

いつも朝ドラで勝太郎さん役で見ているときは、髪型と服装のせいもあるんでしょうけど、もうひとつ精彩が感じられなくて、同じ役者さんかなあと思うくらいでした。

「有頂天ホテル」で、気の弱い泣き虫の大物歌手の役を演じた時も、すごく面白かったなあ。


後、手塩の部下役の寺島進さんが、とってもいい味を出していました。


思い入れのある俳優さんを選んで、その人のために作った役を演じることができるのは、俳優にとってもうれしいことかなあと思いますが、役には出会いというものがあって、もちろん俳優さんの個性や演技力も不可欠なんですが、何か俳優さんの心に火がつかないと、登場人物が魅力的に立ち上がってこないのかなあと思います。


役者さんの隠れている魅力が演じているうちに出てくるという、その場の運のようなものもあるかもしれません。


そういう意味で、ひとつのいい映画を作るのには、いろんな化学変化が必要なんでしょう。そして、その作品の中のマジックアワーに出会うことも。


筋書きのないドラマを、俳優が登場人物になりきって即興で演じていく。そんなことは、実際には無理だろうけど、三谷さんはそんなことが出来たらいいなあと思って、この作品を書いたのかしらと、映画を観ながら思いました。


この人の作品は、セットも台詞も、なんだか映画というよりは、お芝居みたいですね。掛け合いもマンガチックだし、映画というもののイメージを頭に持って見ると、不思議な混乱を起こすのは、そのせいかもしれません。