清海が東京に行ってから2年半。徒然亭一門会は大盛況で、寝床に集まってみんなで談笑している中、小草若さんが荒れ気味でビールをあおっています。浮き沈みの激しいテレビ界で、落ち目になってきて、レギュラー番組を秋からライバルの尊建さんにとられてしまったのです。
お酒に逃げるとこが師匠と親子ですね。酔って草々さんとけんかになりかけたとき、「すぐ手を出すのがくせになったら後々後悔することになる」と師匠に一喝されますが、この言葉が後々の災厄につながっていきそうなのが不吉です。
そこに天狗芸能の鞍馬会長が憎憎しげに現れ、さんざん悪態をついてみんなを凍りつかせた挙句、「借りを返したいなら、12/25 7時天狗芸能に来い」と、はき捨てるように言って去っていきます。謹慎が解けたと大喜びし、来たるべき日への決意を新たにする徒然亭の面々ですが、なんだか怖いです。鞍馬会長は、どういう心積もりでそれを自ら伝えに来たのだろうと考えると、背筋が凍る思いです。・・・下手なホラーより怖いです。
散々迷惑をかけた事を相当恨んでいるようだし、徒然亭が復活して人気を博しているのを苦々しく思っているなら、自分の所に呼び寄せておいて、なにか嫌がらせをするとか・・・。頭の中で妄想が広がります。でも偉い人だから、どっちが得か考えて、儲かるものは利用しようというだけだったら、ちょっとホッとできる気がします。精進したことを素直に認める、芸術に理解ある人だったら理想です。
でも、帰りがけ、そっと駆け寄りお礼を言う小草若さんを、知らないはずもないのに、「だれ、あんた。」ととぼける鞍馬会長に、小草若さんは目を見開いたまま立ち尽くします。・・・怖い。やっぱりこの人怖いよ~。
お前も徒然亭の一門だから特別扱いしないということなのか、落ち目になってきて利用価値がないと思っているのか、落語家としてもっと芸を磨けというメッセージなのか、どうなんでしょう。草々さんの破門へとつながる序章としては、十分過ぎるほどのエピソードです。
ちりとてちんを観ていて思うのは、ほんとの意味での大人がたくさん登場するなあということです。喜代美ちゃんや一門の人たちがいろいろやったり言ったりした事に対して、きちんと「それ違うやろ。」とつっこんで、具体的な話をしてくれる、ある意味、教育的な大人があちこちにいて、そういう言葉を頼りに、みんなが自分なりに考え、成長していく様子が描かれているところか゜、とってもいいなあと思います。
自分のことだけじゃなく、このままいったら道を誤ると思えば、何か言わずにいられない、他人に対する優しさが、かつて日本のそこここにあって、今失われつつあるもののように感じます。
人の気持ちはこだまのように、優しくされれば今度は人に優しくしようと思うし、残酷に心傷つけられれば、今度は誰かを傷つけようとするものではないでしょうか。
そういえば、落語の中にもそういう人間関係がたくさんでてきますね。
2年半の間に、小次郎さんは奈津子さんと同棲し始め、小浜では喜代美母がパートを始め、喜代美弟は大学生と、少しずついろんな変化が起きています。
とりとめなくなってきましたが、最後に、草々さんが、小草若さんとのけんかの時に、もっと真面目に落語の勉強しろという例えに、「若狭でも(落語が)5席できる」とか、喜代美ちゃんをすごく低く見た言い方をしていて、喜代美ちゃんがムッとしていましたが、草々さんにとって、喜代美ちゃんはまだ駆け出しの子どもにしか映ってないんですね。一人前と認めて、対等に見てもらえるまで、まだ道は遠そうです。