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ワタクシメのコドモ時代における愛読書と言えばコレ。

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そそっ…学研から発刊されていた「ジュニア チャンピオンコース」でゴザイマス。

当該シリーズは探偵系、世界のなぞ不思議系、占い、妖怪お化け、心霊系、科学系などなど…それこそ少年の魂をまさぐるラインナップが魅力だったもの。中でもワタクシメのお気に入りは「世界のなぞ 世界のふしぎ」という刊でありまして。ソコには世界のあらゆる地域のなぞや不思議がてんこもり。それらは超常現象だったり、はたまた恐竜やネッシー、雪男…いわゆるUMA(未確認動物)と呼ばれるものがおもに書かれておりました。どこぞのお国の浜辺に漂着した人魚の図?なんてのもあったとキオク。コドモごころに「ホンマかいな?」と疑いつつも、ドップリと楽しんでいたものでゴザイマス。

さて、人魚と言えば…ふむふむ。70-80年代アイドルの皆様とは深い関わりが。ということで、今回はココにコジつけ、いつものようにアイドル歌謡をレビュってみたいと思うのでありまする。

表題の「おこりんぼの人魚」は、仁藤優子嬢のデビュー曲として、1987年6月17日にVAPレコードから発売された楽曲。VAPレコードは、新しいレコード会社のひとつ(当時)であり、日本テレビがその株の多くをギュっとニギっていたトコロ。所属していた歌手は、あおきあい、松本明子、菊池桃子、杉山清貴&オメガトライブなどで、現在もメディアを提供する企業として存続しているからごリッパである。

そして、本レビューの主役である仁藤優子嬢が芸能界に入るキッカケとなったのは、ホリプロ・タレント・スカウト・キャラバンである。ココに於いて「アクトレス賞」を受賞したことによりアイドル歌手デビューと相成ったワケ。しかし、この賞は当該大会における最大の華ではないのであしからず。ちなみにソレに輝いたのは、同期アイドルの伊藤美紀嬢。彼女は仁藤優子嬢よりもひと足早くに歌手デビュー(1987年5月21日「小娘ハートブレイク」)をカマし、その時点では誰しも美紀売りが大いに成されていく!と確信したハズ。ココで「ハズ」としたのにはワケがゴザイマシて。まぁ、コレを読んでくだすってる方々ならば、とっくにご承知の「ハズ」。(笑)

それでは、まず本曲の作家陣営をカクニンしときまショ。

作詞:夏目純 作曲:佐藤健 編曲:入江純

作詞を担当した夏目氏は、本曲発売前後あたりからヒンパンにお見かけ。他アイドル歌謡での提供作品としては、「二人だけのセレモニー」岡田有希子、「素敵な休日」堀ちえみ、「内緒で浪漫映画(ラブストーリー)」新田恵利、「PIRA★星物語」若林加奈、「幾千(セン)の涙を贈りたい」山口由子など。ソレラ多くで尾崎亜美氏とのカラミが多いのは、相性がおよろしかったのかしらね、ナゾ。そして作曲の佐藤健氏…この方は大橋純子嬢のバックバンドにいた方(現在はご夫婦)で、「堕ちないでマドンナ」田原俊彦、「Fin」中森明菜、「045」杉浦幸、「ヴァ・ケー・ショ・ン」吹田明日香など。80年代中盤以降がその活動の中心?と思いきや、岡田奈々嬢の楽曲、例えば「手編みのプレゼント」「若い季節」「賭け」なども存在しており、そのキャリアは長いことが見て取れる。編曲の入江氏も作曲家として数多くのアイドル歌謡を手がけたが、本作ではアレンジャーとしてご参加。

さて、このような布陣により紡がれた仁藤優子嬢のデビュー曲は、そのタイトルどおり、夏、ビーチ、虹などのアイテムを散りばめて、キラキラ感に満ちあふれた作風。彼女の見た目に関しては、それこそ、海からあがってきたばかりのマーメイド風。カラダに水玉をつけたまま夢見るのがサイコー!サンサン太陽ゴクロウサンサン!まばゆいばかりに輝いているようなさまである。それはレコードジャケットにしてもTVでの歌披露にしても、同様に感じたもの。そういった意味で本デビュー曲は、彼女が持っていた雰囲気にピッタリコンコン!陣営としてはしてやったりの、自信マンマンなコンセプトだったのではないかしらん?しかも作家陣が夏目に入江…コチラでも♪ナツしました~といった風。(笑)

それでは、本曲の歌詞を見ていきまショ。

♪Paradise 海に魔法のWeather
 砂を跳ねて 降りだす Love squall

ショッパナから夏全開、フルスロットルで攻めてキますな。6月中旬という時期にリリースするにはもってこい。ニッポンの場合はうっとうしい梅雨があり、この時期はまだまだ手放しで「夏いただきます」とはならずの頃。そそくさと梅雨明けする沖縄か、はたまたソレがない北海道か…でも北海道の海辺ってなイメージではないのよネン。コレはやはり海外のトロピカルリゾートってな雰囲気がムンムンでアリマシテ~♪原色が踊ってる~ってな世界観。

お空から海から…それこそ「後ろから前から」?なにかキラキラしたものが降り注いでくるようなイントロ。そして間髪入れずに迫力マンテンの歌声で迫りくる仁藤優子嬢。待望の大型アイドル…キタ~っ!と声高に叫んだのは、当時のワタクシメ。(笑)コレを読んでる皆様方の多くも?おそらくは異口同音だったのではないかしらん。それくらい、歌声そしてビジュアルにおいて華があったように感じたものである、この時点では。

♪タオル抱き締めたままで 椰子の木陰(キノシタ)に二人
 しょげた人魚(マーメイド)だねと 彼のKissが零れた

♪おこりんぼの人魚は 優しさが恥ずかしい
 地上に舞う雫(ダイヤ)を 浴びながら波間へと逃げたの

歌詞をジックリと読み進めてみると、歌の主人公がリアルに人魚なワケではないことが分かる。やはり人魚は実在しない生き物なのか。

降り出したスコールにしっぽり濡れた少女。そして彼女は「恋知る、セシル」。そのわずか5秒前くらいの至近距離に佇んでいるのである。そのタイミングで彼の優しさとKissが零れ、突然の出来事にさまざまな感情が入り混じり?とにもかくにもその場にいられず、波間へチャポンと照れ隠しという図か。でもこの瞬間ってばサ…かなりのコーフン度だったに違いない。それこそ、波間のむこうでウハウハ…鼻の穴はおっぴろがっていたのでは?(笑)

♪Paradise すぐに追いかけないで
 燃える素肌 視線に焦がされそうよ…
 Paradise 海に魔法のWeather
 砂も貝も夢に変わるから

あら…当たったワ。(笑)本心じゃすぐに追いかけてきてぇ~デショショ?だけどほてった肌とおっぴろがってしまったお穴…なんとかしなくちゃ!ってな状況下なのだとスイソク。

スコールに濡れた彼女を見て「しょげた人魚(マーメイド)」と比喩した彼。かなりの詩的表現力をお持ちのご様子。こんな姿見られた暁にゃ、またなにを言われるか知れたものではないものネ。ヘンに勘ぐられ「○しだらな人魚(マーメイド)」とか言われたら「困るのことヨ」。まぁ、アッチに手早くイキ着きたいなら、願ったり叶ったりの状態カモしらんけど。(笑)

さて、くだらない妄想で本曲をすっかり汚してしまいましたでしょうか。というか、本曲はこれくらい悪戯に汚してみるくらいの方が良いのカモ?なぜなら曲全般に渡り、ありえないほどの爽快さで満ちあふれているからである。数あるアイドル歌謡の中でも屈指のさわやかさであるし、また、南の国のパ・ラ・ダ・イ・スとやらを実に美しく描写できている作品だからである。そしてその爽快さが頂点に達するのが

♪青い空に描くスペクトル

♪この虹の向こう側 恋なら…

ココなのかと。歌詞に絡むメロディー、そしてシンセ多用のキラキラアレンジ、それぞれが実に素晴らしいのはモチ、仁藤優子嬢の伸びやかな歌声が、澄み渡る青い空の情景を聴き手にサラっと描かせるのだから。まさにそれは「瞳いっぱいの夏」といった風。今すぐ南の島へスっとびたくなるというものヨ。

これだけの良曲とアイドル本体の高品質だもの…ヒットチャート上での動向もすこぶる好調だったようで、最高13位までのぼりつめ。それこそベストテン入りも目前といった位置である。そして、登場週数は7、売上は4.6万枚と、新人アイドルのデビュー曲としては合格点?本曲発売の1987年あたりは、それこそアナログ→CDへの移行期。アナログ盤の売上がジリ貧となる状況下でのコレは、かなり健闘したと言ってよいのだと思う。その全盛期での発売だったのであれば、かる~く10万枚以上はサバけていたのではないかと。

アイドル歌謡界を席巻したおニャン子クラブのブームも去り、その反動からか1987年デビュー組は実に粒揃い。仁藤優子嬢もそれの一角を成し、酒井法子、立花理佐のちょい後ろ…そんなポジションからブレイクの機会を窺っていたもの。キリっとした瞳が印象的な紛れもない美少女、そして堂々たるステージマナーは大器を感じさせたものである。同オーディションでグランプリを受賞した伊藤美紀嬢のソレを遥か凌いだ高待遇っぷりも語り草か。

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水シブキが似合う美少女キリっとした瞳が印象的マーメイドみたいな眼差し

しかし、そんな彼女を襲ったのが、おノドのアクシデント。なんでもファーストアルバムのレコーディング中、出ない音域の声を無理して出してしまったことにより、歌手としての生命線をヤってしまったらしい。秋以降の歌声は…とてもではないけど聴いていられないほどに痛々しく。以前は軽く出た声が出ない…ご本人が一番ツライ思いをされたに違いない。嗚呼!これだけの逸材になんてことを...泣っ。

かの有名なアンデルセン物語の一篇「人魚姫」。そこでは、人間のオトコに恋焦がれてしまったという人魚が描かれている。彼を慕うキモチをおさえきれなくなってしまったその人魚は、人間の足を手に入れることを模索する。ソレを叶えることができるのは、おそろしい海魔女だけ。勇気をふりしぼり海魔女の元を訪れた人魚は、その望みとひきかえに、美しい声を奪われてしまうのだった…。

「おこりんぼの人魚」を颯爽と唄った仁藤優子嬢…彼女もその轍(ワダチ)を踏んでしまったのか。それはすでに足を備えていた彼女にとって、全く必要のなかったモノ…そう思うのである、シミジミとね。

☆作品データ
作詞:夏目純 作曲:佐藤健 編曲:入江純(1987年度作品・VAPレコード)