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ここのところ立て続けに更新、ワタクシメにおける里帰り中の行動をつぶさにご報告させていただいた「ニッポン滞在記」。それら記事では「夢」がどうのこうのという内容を散々パラ読まされ、それこそ辟易とされてる方もいらっしゃるのかと。そのような、けだるいムードとなっているさなか、追い討ちをかけるように更なる「夢」を。(笑)

ココまで読んだトコロで「ごきげんよう、さようなら」しようとココロに決めた方…ちょっと待ってくださいナ。なんと今回のレビューにおける主役さま、いわゆる“レビュー処女(オトメ)"ト呼ばれる方でありまして。見てらっしゃいよってらっしゃい!って別にソレを金とって眺めさせようってワケでもないのだが、とにかく当ブログでは紛れもないニューフェイス。開設から10年もの長い時間(とき)を経て、ようやくここにご登場と相成るに至ったのでありまする!特に寸どめしてたワケではゴザイマセン…たまたまこうなってしまったというだけ。まぁ、このように遅延した分だけ、レビュー処女(オトメ)としての価値が高まる~というものかしらん、ナゾ。

ところで、その主役とは…

奥田圭子 嬢

この方なのでありまする。

ここで簡単に圭子嬢のご経歴を少々。

●1982年 ホリプロタレントスカウトキャラバン
●1984年 東宝シンデレラ
●その他、さまざまなトコロでお顔みせのオーディション荒らし

そして、芸能界入りの決定打となりましたのが、1984年に開催された

パイロット万年筆 イメージガールコンテスト

コレだったのでありまする。それにしても、アイドル全盛期の80年代ってのは、実にさまざまなオーディションが存在したもの。しかし、果たして万年筆にイメージガールが必要不可欠だったのか?「そんなの序の口よ~」とのおコエがアチラコチラから。そそっ、東鳩オールレーズンやサンバード長崎屋にだってイメージガールが存在し、キュートな少女たちがこぞってオーディションに挑んでおりましたものネ。まったくもってやりたい放題…失礼。当時の戦略とは言え、なにはさておきガムシャラな時代だったようでゴザイマスね。(笑)

さて、そのコンテストにて白羽の矢を見事に射止めた圭子嬢…しかしながら、特に目の色変えてまで芸能界!というタイプではなかったご様子。オーディションに出まくっていたのも、「審査会場の雰囲気が好きだった」というご趣向らしく。これまた、ずいぶんと余裕がタップリコンコンだったようでゴザイマスね。でもたしかに、どこからどう見ましても「美少女時代」といったご風貌。そのクールで麗しいお顔だちを引っさげ、余裕シャクシャクになるのも頷けるというものヨ。

そんな彼女のデビュー曲発売は、1985年2月21日。楽曲を担当した布陣はコチラ。

作詞:鈴井みのり 作曲:玉置浩二 編曲:奥慶一

作詞を担当された鈴井みのり氏と言えば、川田あつ子嬢の2ndシングル「ごめんなさい」、山本ゆかり嬢の「GAMBLER」における作詞担当としてその名が轟く方。かといってソレ以外のアイドル作品おいては、クレジットがあまり見当たらずな方でありまして。轟く…というよりは「名を刻んだ」くらいの表現がテキカクなのかと。また、書籍やサイトによっては「鈴木みのり」なんて表記も見られ、とてもややこしい。同姓同名のライターさんがいらっしゃるようで…どうもその辺りからの混同なのか、ナゾ。

また、作曲の玉置氏…この曲が発売された時点で、安全地帯のボーカル担当としてすでに名を馳せ状態。すなわち本表題曲は、そのグループがブレイクした後に世に出た作品…ということになる。

本曲を含め、玉置氏におけるアイドル歌手への楽曲提供はそこそこあることでも知られるが、ブレイク前のA面作品というのは少ない。しかしあなどるなかれ…珠玉作品が並ぶのである。

●「窓辺から」「シャンプー」MIE(「窓辺から」は松竹映画「シングルガール」主題歌)
●「恋」石川ひとみ(後に同じ事務所の先輩、小柳ルミ子嬢が「乱」と改題して発売)
●「サヨナラのSEXY BELL」本田恭章

安全地帯の初ヒット「ワインレッドの心」は、1983年11月の発売。それより以前の日付で、レコード盤としての発売が確認できるのは、上記4曲あたりの模様。もち、他人へのご提供でヒットした曲の中にも、「ブレイク前にしたためましたワ!」という作品があるのかもしれないが。

こんな状況下で市場に出された奥田圭子嬢のデビュー曲。その風貌もかなり考慮されてか、よくあるアイドルのデビュー曲とは一線を画す作風。要は♪はじめましてのごあいさつ~といったものからはほど遠い、オトナびた風情がタップリコンコンということになる。

♪夢 ください くちびる 嬉しい
 夢 あげるわ 不思議ね 哀しい

イントロで紡がれるギターの調べ…70-80年代のあの頃を、リアルで過ごしたヒトにとりましては「ここちE」音色に違いない。メロウでナマめかしい葡萄酒のよう…この音色だけであの頃へタイムスリップしてしまいそうになる。ココロなしか安全地帯のブレイク曲「ワインレッドの心」におけるソレを彷彿させるか。しかしながら、編曲担当者は異なるのであしからず。

あの頃の歌謡曲(アイドルポップスも含む)で春の歌と言えば、それこそ星の数ほどの作品が存在する。そして、ソレラを分類してみると、大きなふたつのお山ができあがる。ひとつは暖かくほがらかな春を描くメジャー調、そして残りは花曇や花嵐を描写するマイナー調。奥田圭子嬢の表題曲における歌詞中には、特に「春」らしい季語は見当たらない。しかし、“咲きかけ”という言葉から「春」、しかも「春まだ浅き」といった雰囲気が感じられる。この季節感を引き出す意味合いでソレを一手に担っているのが、イントロから奏でられるギターの調べ…コレなのではないかと。春の風情をそこはかとなく漂わせながらも、なにかこう薄ら寒いものを残す…本曲が後者に属すのは言うまでもないトコロなのでありまする。

♪風が大地を 旅するように ほら
 迷った心に 吹き抜けた

このお歌の主人公は、心中にてなにかふっきれないところががある。そのココロにたった今、風がスっと吹き抜けた。それまでに迷いあぐねていたナニかを払拭…いざソレを捕らえるべくの体勢を整えた!と言えようか。それにしても一体ナニをそんなに虎視眈々なのかしらん?

♪だけど(息づく 数えきれない)
 すぐに(大人びた感情が)

♪あなたの眼に読まれそうで うつ向いて肩をすぼめた

♪だから(謎解きはひらめきね)
 つまり(さり気なく 甘えてよ)

♪一秒ごと 臆病だわ 二人の時間よ 逃げないで…夢

あは~ん…もしや意中の彼との「夢千秒」を実現すべくの「夢ください」?そんな展開が見て取れるか。要は主人公ににとりましての「夢」は“あの場面”のことを指しているのではないかと。ただし、この時点ではソレに関する詳細は語られず…ベールに包まれた状態。このあたりは、かつての歌謡曲における十八番(オハコ)手法でゴザイマしょうか…だから「好きよ」。なんでもかんでも言葉にすりゃいいってもんじゃないでショ。それにしても、どうよこの主人公…生娘?じゃないことを悟られそうになり、ソレを覆い隠そうと?サブタイトルが-知・的・優・遊-になってるけんど、結構必死ヨっ!

このあたりの本性に関しては、2番の下記クダリにて露わ…ムキ出しに。(笑)

♪いつも(ざわめき落ち着かない)
 なによ(あやふやな顔してる) 

♪言葉じゃもう あらわせない 鮮やかな場面がしたいわ

あっ…ガマンできず、遂にクチに出しちゃった。しかも「なによ」と喰ってかかっていくあたり…どこか斜め目線的な手馴れた感が…。1番の二役箇所では、奥ゆかしい面と手馴れた面に分かれていたはず。なのに2番になると、手馴れた面だけの描写になっとる…滝汗。でもってエンディングでは

♪ラ~ラ ラ~ララ~ラ

こんな感じで無垢な少女を装うノ。生娘を遥かに上回る臭いが充満でコワイったらありゃしない。(笑)

それはさておき、これら部分での圭子嬢...おひとりで八面六臂のご活躍!ってかオモテのコエとウラのコエの二役を演じたのだから、二面と記すのが的確じゃなくて?(笑)デビュー曲でこのお達者ぶりだもの…お歌のお仕事と平行し、映画(「パンツの穴 花柄畑でインプット」)にご出演してらっしゃっただけのことはあるというものヨ。しかもTVの歌番組にお出になられた際も、この芸当はきちんと。コーラスのお姉さん方にお・ま・か・せ~なんて怠惰は一切合財ゴザイマセンでしたヨ。それこそ「アンタ、なっかなかやるわネっ!」と感心したものでゴザイマス。ってか、この上から目線って一体ナニ?(笑)

そのようなひとり二役に加え、ファルセットのご披露など、全体的にも色々なトコロでその類まれなテクニックと器用さを見せつけてくれた圭子嬢。それこそコチラも手馴れた感でいっぱい。しかし、欲を言えばもう少々おコエが太めだったらナと。いずれにしても、外見の美しく品のある佇まいといい、そのタイミングいかんによっては関脇クラス以上のトップアイドルになれたタマ?それこそ、玉置氏が腕をふるった本曲が「名曲」として賞賛を浴び、今日まで脈々と歌い継がれる~なんて展開があったのカモ?ってかサ

♪なによ

と、自身が書いたことに喰ってかかるワタクシメ。おコエの細さがどうであれ、なかなかどうして…この曲はオリコン最高32位、登場週数14、6.6万枚を売り上げている。14週と言うと、単純計算でザっと3ヶ月以上…ということは、かなりのロングヒットと言える。前述のパイロット万年筆CMならびに「パンツの穴」の両方とのタイアップがかなり効いたのか。ということは、同期の桜におけるデビュー曲比較でも、中山美穂嬢や本田美奈子嬢のソレに肉薄!という好成績だったことが伺えるのである。

■1985年デビュー組|おもな新人賞レース参加者|デビュー曲売上比較表

タイトル歌手名発売日お成績
「不思議Tokyoシンデレラ」セイント・フォー1984年11月5日35位 5.3万枚
「火の鳥」ツインキー1985年2月1日100位圏外(不明)
「白いバスケットシューズ」芳本美代子1985年3月21日22位 6.4万枚
「春色のエアメール」松本典子1985年3月21日28位 5.8万枚
「メロウ・シーズン」橋本美加子1985年3月22日37位 3.2万枚
「殺意のバカンス」本田美奈子1985年4月20日21位 7.3万枚
「予感」森田まゆみ1985年4月20日42位 2.4万枚
「瞳の誓い」井森美幸1985年4月21日32位 4.1万枚
「愛って林檎ですか」岡本舞子1985年4月25日67位 1.4万枚
「テディボーイ・ブルース」石野陽子1985年4月25日41位 2.4万枚
「夏少女」浅香唯1985年6月21日100位圏外(120位)
「ブルージン・ボーイ!」森下恵理1985年6月21日29位 3.3万枚
「恥ずかしすぎて」南野陽子1985年6月23日57位 2.3万枚
「C」中山美穂1985年6月21日12位 17.0万枚
「Doファッション」中村繁之1985年7月24日32位 3.0万枚

この年度のアイドルでブッチ切りだったのは、上記のメンツに含まれない斉藤由貴嬢だったことは言うまでもないのだが。奥田圭子嬢は、新人賞レースは初陣の「メガロポリス歌謡祭」には出たものの、後は秋口に一度だけ?なんだか影が薄くなってしまったことが否めず、誠に残念無念である。このお成績であれば、新人賞の本筋で堂々と戦い抜けたであろうにと。

それこそ、このデビュー曲の主人公のごとく

「オトコください-お・目々・爛・爛-」

もとい、「新人賞ください-虎・視・眈・眈-」とばかりに「なによっ」と喰ってかかってくだされば、更に華やかな展開が待ち受けていたのカモ?と、今さらながらの「夢ください-知・的・優・遊-」?ああでもないこうでもないと…30年も前のお事柄に妄想をふくらませ「知的」で「優」雅な、お「遊」びを楽しんでしまったワタクシメなのでありました。ってか、ソレのどこが知・的・優・遊なんだか、ナゾ。(笑)

☆作品データ
作詞:鈴井みのり 作曲:玉置浩二 編曲:奥慶一(1985年度作品・アポロン音楽工業)