皆さま…新年おけましておめでとうございまする。
ってかもうマツノウチは終わっておりますが、まだこのご挨拶方式でもヨロシュ~ゴザイマスか。
先を急ぎましょショ。さて、つい先日の大みそかに行われたNHK「紅白歌合戦」...ご覧になった方も多いことかと思われ。今回のメダマはなんといっても...そそっ、80年代のアイドル歌謡帝国における両巨頭として君臨されたあのお二人だったかと。それらお二方の雰囲気からワタクシメは“月の女王さま”ならびに“太陽の女王さま”と呼ばせていただいているのだけんど。まぁ、ここまでお話すればどなた方のことを指しているのか、当ブログのヒンパンご訪問者さまならば即座にピン!となっていただけるのではないかと思われ。
月の女王さまのご復帰もウレシュ~ゴザイマシタし、また、あの大舞台で初の大トリを務めあげられた太陽の女王さまにも感慨深いものを感じた次第でゴザイマシタて。舞台にひとり取り残され渾身の歌唱をカマすなんて!SHYナ・ボーイのワタクシメにはとてもできない芸当でありますからして、思わず敬服!それでもネット上では彼女のパフォーマンスに関しまして色々と...まぁ、いつものごとくの言いたい放題なご意見が飛び交っているようでゴザイマスがね。ワタクシメといたしましては彼女のごリッパなお姿を称えたい派に属させていただきたく。ただ、あの曲よりも「瑠璃色の地球」の方が相応しかったのカモ?と「疑問符」を連打してみたり。なぜなら昨今の地球を取り巻く環境、そして〆としてのシマリ具合なぞを考慮してみるとサ...ソチラの方がマッチングする気がしてしもうて。なにはともあれ、80年代を代表するふたりの女王さま方が、2014年になっても世間の注目を浴びているという事実!コレは実にウレシイことでゴザイマスであり、それこそお二方の存在が今でも偉大であるというア・カ・シというものヨ。
それはそうと…舞台にひとり取り残され+瑠璃色?これらキーワードによりワタクシメの脳内でアタマをもたげまくる曲がゴザイマシて。ということで、今回はココにコジつけさせていただき、あの歌姫が放ったこの曲をレビュってみたいと思うのでありまする。
表題の「くるみ割り人形」は石川ひとみ嬢のシングル第2弾として、1978年9月5日に発売された楽曲。彼女にはひっちゃんというニックネームがあるからして、ここから先はそのように呼ばせていただくことにする...モチ親しみを込めてネ。
ひっちゃんと言えば「まちぶせ」のリメイクヒットにより認知される方であり、そして今でも歌手活動を継続してらっしゃることでも知られる。彼女の歌声は若い頃のソレとまったく遜色のない、どこまでも澄んだ美しい響きが特長。そしてご風貌も全く衰えを見せず今でも愛らしさを保たれたままであるからして、彼女を支えるファンの数がとても多いのも特筆すべきお事柄かと。
そんな彼女はTVのオーディション番組「君こそスターだ!」のご出身で、1978年5月25日にキャニオンレコードから「右向け右」で颯爽とデビュー。そのデビュー曲は最高位66位、1.7万枚を記録し、そこそこ好調なスタートを切ったもの。ここで「そこそこ」と書いた意はもちろん良き意味のソレということになる。なぜなら70年代はアイドル歌手にとっては非常にテキビしい時代であり、よほどの良曲や確実な人気を得られなければヒットチャートの上位に躍り出ることは叶わないといういばら道。知名度だけあってもダメ、グラビア人気だけあってもダメ、その他ダメよ~ダメダメ。それこそすべての要素が揃いブミとならなければ名実ともにトップアイドルとして君臨することはできないという状態。だからこそデビュー曲をいきなりチャートインさせてきたひっちゃんは、そこそこのご健闘モードだった...と言えるのでありまする。
そしてこの好調の波に更に乗ろうゼ!と放ってきたのが、表題の「くるみ割り人形」だったのでゴザイマス。発売日を見てお察しがつくとおり、本曲は新人賞レースを意識したものである。ひっちゃんが所属していたのは業界の雄(当時)とも言われた渡辺プロダクション。しかしソコにはすでにトライアングルというイチオシユニット(キャンディーズの妹分)がすでに存在。が、そのユニットが思わぬ誤算による大失速を招いたことにより、慌てふためいた同事務所はひっちゃんプッシュ体制へと完全シフト。
このヤバイ状況下だもの...そりゃ気合いを入れまくらないとネ。なんせプロダクションも雄としてのメンツがかかっていたのだし。ってことで作詞は好評だったデビュー曲から連投となった三浦徳子氏が担当。作曲はヒットメーカーの馬飼野康二氏が、編曲は大村雅朗氏が手がけるというラインナップ。デビュー曲と異なる点は作詞以外の部分ということになるのだが、おそらくはよりアイドルポップスらしく、より覚えやすくて親しみやすい曲調で...という企てからの起用だったのではないかとスイソク。なんせデビュー曲はやや固めの作風だったものネ...しかもタイトルが「右向け右」って。ヘタすると軍のお唄かしらん、ナゾ...みたいな懸念もチラホラ?そりゃ、ないワ。(笑)
そのような懸念を払拭するかのように?本曲ではヨーロッパのかほり芳しきハープシコードの音色をあしらわれた。ソレはあたかもトウ・シューズを穿いたプリマドンナが軽やかで優雅なステップでも踏んでいるかのような上品な響き。そしてひっちゃんはこのように唄いはじめるのである。
♪瑠璃色風吹く アスファルト
飛びはねる赤い靴 虹を描く
ガラスの瞳に映る街
誰かと腕を組み あなたが消えた...
飛びはねる赤い靴 虹を描く
ガラスの瞳に映る街
誰かと腕を組み あなたが消えた...
主人公が傍観者としての立ち位置で描かれるストーリー...しかし雲行きがとても怪しい。なぜならば...
●飛びはねる赤い靴→浮かれるオンナを現したもの
●虹を描く→そのオンナが七色の夢でいっぱいになってるさま
●ガラスの瞳→主人公の目。決定的瞬間を目撃し、冷たく凍てついたさま?
●虹を描く→そのオンナが七色の夢でいっぱいになってるさま
●ガラスの瞳→主人公の目。決定的瞬間を目撃し、冷たく凍てついたさま?
ワタクシメの妄想によればこのような展開となり、ショパナからコッパミジ~ン!ハンカチギュっとしぼるほど思いきり泣きたいワ~といった状況なのである。そして主人公は悲しみの海に突き落とされ...
♪danceが終わったあと 取り残された...
静まりかえる舞台 私一人だけよ
静まりかえる舞台 私一人だけよ
コレ、分かります?いわば幕が引けた舞台上でひとり呆然とたちすくんでいるさま...要は凍てつく荒野にポツンと取り残された汽車のようとでも表現したら的確なのか。周囲にイヤミなおヒトのひとりやふたりでもいたのなら「いつまでボーっとつったってんのよ、アンタ!」と言われかねない状況とも言えるか、ナゾ。
♪くるみ割りお人形 あやつる人がいないの
くるみ割りお人形 夢は昨夜(ゆうべ)割れたの...
くるみ割りお人形 夢は昨夜(ゆうべ)割れたの...
はっ?くるみ割り人形???あれれ、なんだかよく分からなくなってきてしもうた。だってくるみ割り人形って、オトコの兵隊を模したモノが主流じゃなくて?しかもココでのひっちゃんのフリツケ...お噂はかねがねお伺いしてはおりましたがネ...ロボットのソレみたいになっとるし。だ~か~ら~違うっての...ソレは「あやつり人形」をイメージしたものなのヨ、プンプン。ひっちゃんをイヂメないでネ。(笑)
ココでモンモンとするものイヤなので、くるみ割り人形について調査ってみることにした。モンモンするのは「もんもんドラエティ」で主役ったひっちゃんだけ十分でゴザイマスものね(←意味分かります?)。
ドイツの伝統工芸品。おもに山間部の特産品として作られる、木製の直立した人形。アゴの部分を開閉させクルミを噛ませ、背中のレバー操作により固いクルミをいともカンタンに割る仕組み。 |
ふむふむ。このような理由で制服を纏わせたイカつい兵隊サン見た目ってのが多いのか。少女を模ったモノが存在してもいいようなものだけど?でもよくよく考えてみたらば、その愛らしいご風貌でお固いくるみを「ガリっ」とか...ギャップがすごすぎて不気味~。しかもクルミ大のモノをおクチにパク~だなんて...早くもカマキリ化のおっぱじまりかしらね、ナゾ。(←意味分かります?)
ソレはさておき、この主人公が本曲の中で訴える“くるみ割り人形”の意味とは?
●悲しい瞬間を目撃してしまい直立不動ナノ
●あやつる人がいなくて立ちすくむだけなのヨ
●完全に受身と化してしまったワ
●あやつる人がいなくて立ちすくむだけなのヨ
●完全に受身と化してしまったワ
これらなのかと思われるのだが、この曲の歌詞は一見シンプルに見えはするものの、実はそうではないことに気づいた次第でゴザイマシて。曲中で小道具として登場してくる...
●赤い靴
●dance
●舞台
●くるみ割り人形
●dance
●舞台
●くるみ割り人形
要はこヤツラがクセモノでありまして。なぜならこれら小道具により主人公もバレリーナなのではないか?と思わされがちだからナノ。歌詞の解釈は聴き手におまかせが基本...なのでどう解釈しようが♪どうでもいいワ~なのだけど。ただ、かつての歌謡曲における歌詞というのはポエム的な要素を含むものであり、なおかつ大意がボヤかされる傾向にあった。まぁ、昨今の歌詞に至ってはあけっぴろげにダラダラと...どヘタな作文みたくになってしまってるけんど。いわゆるかつての歌謡曲と呼ばれる曲に宛がわれたポエムのような歌詞の解釈方法...ソレはネ、ちょっとした言葉を追加して文章らしくしてみること。そそっ...こんな風にネ。
♪(あたかも)danceが終わったあと(ひとり)取り残された(みたい)....
(まるで)静まりかえる舞台(で) 私一人だけよ(みたいな感じナノ)
(まるで)静まりかえる舞台(で) 私一人だけよ(みたいな感じナノ)
♪くるみ割り(の)お人形(みたい)あやつる人がいないの(→つったっとるしかないノ)
くるみ割り(の)お人形(みたい)(なぜなら)夢は昨夜割れたの...(パリン&ショボン)
くるみ割り(の)お人形(みたい)(なぜなら)夢は昨夜割れたの...(パリン&ショボン)
どうでしょ、コレ。このようにしてみると歌詞の解釈作業がウンと楽になる...名づけてまり子マジック!もといチェリーマジック!ってか今回の主役はひっちゃんだから...いくらお顔がニタピロだからってまり子嬢をわざわざココに引っぱり出すこともないのでは?
チェリーマジックによる分析からモノ申し上げますと...主人公はバレリーナではなく単に夢やぶれてあたかも○○みたい...と悲しむ女の子であることが見えてくる。突然の悲劇に見舞われ直立不動に...あやつる人を失い完全受身と化してしまった少女をくるみ割り人形になぞらえる。この状況をかの有名なバレエ歌劇と絡ませて描いたのかナと考えてみる。この解釈であれば、2番の歌詞で登場するトウ・シューズや踊りだす女(ひと)などのすべてが点と線でつながるのではないかと。
●トウ・シューズ→軽やかに踊れるはずの靴を穿いたとて全く動けんくらいの衝撃を喰らった
●踊りだす女(ヒト)の顔→彼の横で陽気にはしゃぐオンナの図
●踊りだす女(ヒト)の顔→彼の横で陽気にはしゃぐオンナの図
いかがなもんデショ。この分析が当たっているのであれば、作詞をされた三浦センセイは実に奥深い歌詞を書かれたと絶賛すべきかと。例えコレが的外れなものであったとて、少女の繊細な感性をちりばめた歌詞は秀逸この上ないことには違いないけれども。
これとは別の、いわば“すんなり派”としての解釈だと...
●飛びはねる赤い靴→ヒロインを射止め浮かれまくるバレリーナ(恋敵)
●主人公→ヒロインを逃してその他大勢に
●主人公→ヒロインを逃してその他大勢に
これでもよろしいのかと。ただこの解釈だと歌詞内で使われている「誰か」というワードに解せなくなるのである。なぜなら仲間であれば「誰か」でなく「あの子」となるはずでありまして...それこそひっちゃんが「まちぶせ」で唄ったような嫉妬モードへ大突入になるのかと。バレエを題材にした少女まんがは数多かれど、それらにて頻発しまくったという...
こんなものフンだらイタタっ | ゆうきみほ主演でドラマ化 | 少女まんがでは繰り返し題材に |
お~コワイコワイ!バレリーナの命とも言われるトウ・シューズに
「画鋲つっこんどいたワ...ふふっ」
「ガラスの破片つっこんどいたワ...ふふふっ」
「ガラスの破片つっこんどいたワ...ふふふっ」
というアレでゴザイマスね。ってか新年早々またの悪女バイブルかネ...もう♪いい加減にしてぇ~~。(笑)
さてこの曲...スバラシイのは歌詞ばかりでなく、メロディーやアレンジに関しましてもそれはそれは賞賛に値するものでゴザイマシて。
●主人公が決定的瞬間を目撃する部分から中盤まで→悲しく切ないマイナー調
●サビからはパっと明るく→メジャー転調させ華やかでアイドルらしい雰囲気に
●サビからはパっと明るく→メジャー転調させ華やかでアイドルらしい雰囲気に
コレですよ、コレ。当時のアイドルポップスにおける黄金手法をきちんとフンでらっしゃるんだからニクイったらありゃしない。主人公が置かれた状況はそれこそ悲しくて切なくてどうしようもないソレ...だけどサビ以降の明るく華やかなサウンドによりいくらか聴き手も救われる感じがしませんこと?また、この転調部分が悲しみに暮れながらも前を向きはじめた主人公を描いているかのようにも思えてきて、徹底的にお暗い曲とは一線を化すという特徴にもなっているように感じるのでありまする。そして大村氏による編曲がスバラシイのもお聴きのトオリでゴザイマシて...ハープシコードやストリングスなどのクラシカルな楽器を自由自在に操られ、上品な趣きをタップリコンコンと湛えるノ。それこそバレエ歌劇の一幕でも観ているかのようなキブンにさせてくれるのでありまする。
そしてこの秀逸作品を見事に唄いこなすひっちゃんの歌唱力...どうよ、コレ。声の伸び、透明感、しっかりした音程...新人歌手とは思えない堂々とした歌いっぷりではないですか!
♪あなたの心の中 誰かでいっぱい
トウ・シューズをはいても 動けもしないの...
トウ・シューズをはいても 動けもしないの...
特に2番のこの部分...あ~ん、シビれますワ!♪あなたの~からのクダリは切ないことこの上なく、男性リスナーであらば守ってあげたくなる衝動にかられるはず...まぁ、いらん行為だろうけんど。そして♪動けもしないの~におきましては、ひっちゃん独特の悲壮感に満ちたお声が大炸裂するという。もうこの曲は彼女の魅力を惜しみなく発揮することに成功した、傑作中の傑作と言ってもいいのではないかと。
石井玲子氏デザインの純白ドレス | リボンもポーズもキマったワ! | クラマリさんにかなりニタピロ? |
こんな風に異口同音だった方が多く存在していたのか...本曲は最高42位、6.2万枚を売り上げ、100位以内に15週間も留まり続ける大健闘を見せたのでゴザイマス!この傑作で勢いづいたひっちゃんは同年の「日本歌謡大賞」における新人賞のノミネートも通過、上位7名として本選へとコマを進めたのである。山口百恵嬢やピンク・レディーが猛威を振るっていた当時の歌謡界において、ルックスも実力も兼ね備えた新人アイドルがいることを大いに印象付けたのでありまする。
ただこの宵...ひっちゃんはノミネート会場でひとりぽっち、マネージャーさまは会場に姿を現さず仕舞いだったらしい。なんでも心臓に悪いから...というのが理由だったらしい。だけど当時の歌謡賞はどこでどう転ぶか分からない恐ろしさを秘めていたのもこれまた事実でありまして。例え裏ネゴを万全にしていたとしても、ヘタするとどんでん返しを喰らい関係者のおクビも飛んだとか...そんなことは当たり前に起きていたのでありましょう、おそらくは。
♪ガラスの心が飛び散るわ |
マネージャーさま的にはコッパミジンになりそうな恐怖のガクブル?もしかしたらおもらし寸前の状態だったのカモね。
78年の新人賞は時代を反映してか、NM勢と呼ばれた方々の活躍が顕著。例えば渡辺真知子嬢、さとう宗幸さま、中原理恵嬢、サザンオールスターズ、ツイストなどがソレにあたる。ソコに石野真子嬢や渋谷哲平クンあたりのアイドル系が肉迫するという展開だったもの。しかしレコ大にてツイストが辞退を申し出るという異例の珍事が勃発したのもこの年でありまして。ひっちゃんはと言えば...上位陣を脅かすほどの実績は残していたかと問われれば、お世辞にもそうとは言えず、当落線上をウロウロ。だからこそのマネージャーさま不在劇...なんだか頷けるような気もしてまいりますワ。
こんな事情はつゆ知らずだった当時の小坊ワタクシメ...それこそブラウン管に座りこみお祈りを、モチひっちゃんのため。なんとか当選と相成ったからよかったようなものの、ココで落選喰らってたらワタクシメは
♪くるみ割りお人形 |
それこそあやつる人もおらずの直立不動!そして夢はコッパミジンになっていたことでしょうヨ...ふ~あぶねぇあぶねぇ。(笑)
☆作品データ
作詞:三浦徳子 作曲:馬飼野康二 編曲:大村雅朗 (1978年度作品・キャニオンレコード)
作詞:三浦徳子 作曲:馬飼野康二 編曲:大村雅朗 (1978年度作品・キャニオンレコード)