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アイドル歌謡研究なる趣旨にてこのようなブログを運営していると、そうしたモノや事柄に興味のある方から色々な質問をされることがある。それらはもちろんアイドル歌手本体のことからはじまって、当時歌っていた曲、そして噂ばなしなども含めて千差万別の内容だったりもする。当時リアルでアイドル歌手を楽しまれていた方はもとより、当時は生まれたばかりの赤ン坊で完全なる後追いだからおせ~て!なんていう方も。こうした中で質問されることが多いのが、天外な奇策?をひっさげてお歌をカマしてらっしゃった方、例えばスターボーとか前回取り上げたばかりのキララとウララとか。でもってそれらの方々に加えて多いのが…

「この方はなんでロボットと一緒に唄ったの?」

という質問の対象人物となるこのお方。この方がそのロボットとやらと一緒に唄ったテクノ歌謡と呼ばれている曲は、実はこのブログで以前にもレビューしたことがあったもの。しかしながら我ニッポン滞在中に更なる当時ブツを屋根裏の奥から発掘!そして以前の記事を書いてから数年以上が経過したことなどで、ちょっくらお色なおしをカマしてみようかナと。それとは別にワタクシメをこのように奮い立たせた理由がもうひとつ…それは『その道のプロが、あなたをガイド』と謳われている某サイトにて誤った解釈が…。おそらくは必要ナシ?と思われる妙な正義感にモエモエとなりましたトコロでの再レビューをカマさせていただきたいと。それでは早速はじめてみまショ。(笑)

表題の「DO-KI♡DO-KI」(間にハートマークが入る)は「スタ誕」出身でホリプロ所属のアイドル、河上幸恵さんのシングル第3弾として、1984年7月21日に発売された楽曲。

幸恵嬢と言えば、名曲と賞賛(一部で?)される「ブルー・エトランゼ」という曲で、1983年7月21日にデビュー。彼女は自社オーディション経由からの採用組ではなかったためか、デビューの時期も微妙、プッシュ体制もヨワヨワという不遇っぷりの中にいた。せっかくの名曲を授かってのデビューだったのに、世間的にはちっとも注目されずの“鳴かず飛ばず”。

社が自社オーディションから83年にデビューさせた方も84年に送り込んだ新人も伸び悩み…こうなるとお得意のネガエリ攻撃に出る!というのがココの常。他経由で手に入れた娘の売り出し攻勢をかけるというアレでゴザイマスね。このヤリクチは80年デビュー組にあたる比企理恵vs甲斐智枝美においても実行されたものであり、ソレが脈々と受け継がれた結果、本レビューの主人公である幸恵嬢にも波及した…ということになるのかしらん、ナゾ。社としても伏兵的な位置にいた彼女を活用してのテコ入れをしたかったのではないかと。

そんな風にして突如飛んできた白羽の矢?をシカリと受け止めたとおぼしき幸恵嬢に宛がわれた楽曲が表題の「DO-KI♡DO-KI」なのだが、これは単なるアイポというより、テクノ歌謡と呼んだ方がいいのかもしれない。そして驚きくべきことはNEC社製のロボットが人間とコラボ!という、当時としては最新鋭の大胆な仕掛けが組まれ、人類の夢でもあったロボットと人間のふれあいを展開!こうしたことから考えるに、この曲は“企画モノ”としての色合いがお強いのではないかと。

幸恵嬢とそのロボットによるテレビ番組でのお披露目時には、8台のDX-7をステージにダダ~んと並べ、それらとロボットを同社製のコンピューターにより制御してパフォーマンスするという最先ターンな試み。某公開番組では、コレのせいでバンドマンの皆様が♪手持ちぶさ~たの夏…になりまくっていたのが今でも脳裏に焼きついておりますの。(笑)

このようにして当時をふりかえってみれば、先立つものはかなりかけられていたはず。しかし企画モノという形で借り出されていた幸恵嬢の心中やいかに?なにせ彼女は本来、歌唱力と佇まいの美しさにより「スタ誕」でスカウトされた方、しかもその栄光から2年も待たされた挙句の歌手デビューという曰くつき。そんなこんなでやっとこさデビューできたのも束の間…たった1年後にはこんなのさせられ、はて?喜ぶべきなのか悲しむべきなのか。だけどまぁ、そのまんま何もされずに放されるよりはウンとマシ…なによりもご本人である幸恵さんが楽しみながらやっておられたのであれば、他人がどうこう言う必要は一切合財なく、一件落着と相成るのかと思われるのだが。そうでなかったのならばご愁傷さまだけんど。(笑)

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アハ~ン!美しいおみ足可愛かずみさん似?呆然と座り込むバンドマン達

でもってこのロボット…当初はHP25(媒体によってはHP-25表記もあり)という名前が付けられており、表題曲のレコジャケにおいてもそのようなネーミング記載が見て取れる。なんでもホリプロの25周年記念にちなんで命名、とりあえずのニックネームは「ハッピー」との記載が下記のプロモ広告で謳われている。しかもこの曲が発売されるのと当時に「新名称募集」をやってのけていたことも判明。これこそがワタクシメ実家の屋根裏に眠っていたブツなのネ。

イメージ 5新曲告知用のプロモ広告。都内で大きなキャンペーンも実施された模様。夢1企画では各種プレゼントを抽選で、夢2企画ではHP25のネーミング募集を実施。ホリプロ25周年のメンツをかけ、NEC、ヤマハ、オートラマ、ナイキなどが協賛した大プロジェクトだったことが見てとれる。

その内容によれば、もっとピッタリコンコンの名前を考えて可愛がってネ~!という趣旨だったご様子。なので「その道のプロが…」で記述られている「愛着が湧かなかったから云々」ってのとはちと違う。ソレ書かれた方、ちゃんと訂正しといてくださいナ…物もちがよくって「ごめんなさいね」。(笑)でもって、その公募により決まった名前が「ツトム」だった…というワケなのである。

さて、わざわざ高価なロボットと幸恵嬢を絡ませ、相当の銭(5000万とも聞くが?)をはたいてこしらえたんだから、元が取り返せるようなモノを!こんな無謀?とも思える要請にお応えになられたのが、作詞の岩里祐穂氏、作曲の岩里未央氏…といっても双子でも姉妹でもない。作詞と作曲する時とでペンネームを使い分け…とうのは知る人ぞ知るエピになるのかしらん、ナゾ。なんでも未央名義は三浦一年氏と岩里祐穂氏から成る作曲用ユニットの名称だそうで...?なんだかややこしいったらありゃしない。ちなみに本曲のメロをスペーシーな雰囲気であふれんばかりのテクノ歌謡に仕立て上げたのが、編曲担当の戸田誠司氏(Shi-Shonenだった方)である。

なにはともあれ、幸恵嬢とHP25のコンビでナニを表現できるのかというと…

片想い

コレなのでありまする。と聞くと「ロボットが幸恵さんのことを惚の字傘という設定なんでしょ?」なんてありきたりの発想をカマす人がいるかもしれないが、残念ながらそうではないのヨ…まぁ、半分は当たってるけんど。この曲ではネ、幸恵さんがとある少年に片想い、でもってHP25は幸恵さんに片想いという、人間以外の生命体を巻き込んだ、史上初?のバミューダトライアングルが形成されているの。(笑)

♪(幸恵)ピンク色の胸のきもち あの日からなのよ
 (ふたり)DO-KI!DO-KI!
 (幸恵)バス・ストップで偶然に となり合った人
 (ふたり)DO-KI!DO-KI!

♪(幸恵)キミはいちばんの友だちね お願い 手を貸して
 (HP25)…ツライナ・ボク・キミガ・スキ
♪(幸恵)不思議タッチ 女の子
 スペーシーな感覚で A-Han…夢見てしまう
♪(ふたり)僕のハート 
 (幸恵)気づかずに
♪(ふたり)星の下で
 (幸恵)片想い どうしてなの? ちっちゃな恋人
 (HP25)ナゼ? ナゼ?

アタシのためにひと肌脱いでヨン...キミはいちばんの友だちでしょ!って言われてもねぇ…ツライナ・ボク・キミガ・スキ。この状況下でこういうひとことってサ…かなり傷づくものなのヨ、わかってんの?(笑)誰でも一度や二度くらいはご経験済みと思われるセッティングに…ほらほら!コレを読んでる皆様のお胸もキュンキュン?切なさがほとばしりはじめましたかナ。

他のオトコに夢中の幸恵嬢、そして報われそうにもない愛にマジメ一直線のHP25…そんな彼は本曲で照れたり落ち込んだりの愛嬌のあるところを見せてくれる。それこそ現代ロボットのソレとは比較にならんほどのきごちなさではあるのだが、なかなかどうして…「DO-KI♡DO-KI」のポップなメロディーに合わせて歌って踊れるかわいいヤツ…ホレたわ。(笑)1984年という時代に歌も唄えて、フリツケもこなせ、そしてちょっとした感情も出せる…これだけできていたのならば♪ボク・キミガ・スキ。現代ロボットみたいなフレキシ性は皆無で、どデカい足で仁王立ちってのが玉にキズではあるのだけれども。“企画モノ”と書いて半ば見下し気味だったレビュー冒頭部分をハンセイ…こんな経験をさせてもらえた幸恵嬢が急にうらやましくなってきましたがな…って、そもそもこういう企画モノはキライじゃない性分なのだけど。(笑)

って、ロボットの賞賛はこの辺にして、幸恵嬢へとお話を進めまショ。この曲の為に幸恵嬢はそれまでのイメージを一新、お衣装はピンクの超ミニフリフリで、バレリーナみたいなデザインがなんともキュート。後に美脚で話題になった森高千里嬢の「17才」よりも先んじてこの格好ヨ!といった、パイオニアガール的な威厳もそこはかとなく漂わせるか。そして頭にもご注目ヨ…ヘッドセットがカチっと装着!しかも単なる無機質なソレではなく、カチューシャに見えるよう可愛い細工までもが施されてるのは一前上手といったトコロか。アイドル歌手のヘッドセット利用に関しては、前回レビューで書いたコズミックインベンションよりは遅く、キララとウララよりはちょっとばかり早い!というビミョーな立ち位置。コレが災いしてか?世間一般からは完全に忘れ去られてるっぽいからイヤになっちゃう、幸恵嬢をお忘れなきようお願いいたしますネ。(笑)

忘れるものか!だって幸恵嬢は歌もよし、声質もよし、ルックスもよしの揃いぶみ。この曲で魅せた歌声、そしてパフォーマンスはザ・アイドルそのもの。デビュー当時のおとなしめのジミキャラだった彼女からは想像がつかないような、実にアイドル然とした立ち振る舞いがアイドルファンの胸をもくすぐることうけあい。これだけの素材を持ち合わせた歌姫がこんな格好して唄って踊って、銭かけて作られたロボットとコラボするという奇想天外なパフォーマンスにも関わらず、200位圏外というキビシ~結果を喰らったワ…ガーン!一体どういうことなの?

しかしこれだけ無反応だったにもかかわらず、幸恵嬢とHP25は次作「ハートのねじ」(河上幸恵&ツトム名義)もリリース!えっ…ウソでしょ?いいえ、しかもこの次作ではPV作るわ、ライオンの歯みがきCMには出てくるわ…まさかの幸恵モーレツプッシュ体制!大抵の企画モノは1発目が当たらんともうやらん!ってのが常だったはずなのだが…。ホリプロの誤算?NECとの契約期間を見誤り?一体これだけの銭がどこから湧いてきていたの…ナゾは深まるばかり。同事務所の先輩だった堀ちえみ嬢が稼ぎ出した分を使い込みなんてお噂も?そう言われてみれば、ちえみ嬢の迷曲?とも言われる「WA・ショイ!」で使用されたあのロボット…あれは一体?償却できず粗大ゴミ?と化したツトムくんをちえみで使いまわし?いいえ、たしかソッチはタイトー社製でゴザイマシタよね。(笑)

幸恵&HP25(ツトム)の企画が良かったのか否かはよくわからない。だけど少なくとも河上幸恵というアイドルの別側面や可能性を見せてくれたことには素直に感謝したいトコロだったりで。ワタクシメ的には決してキライな路線ではなく、むしろ日頃のプレイリストに入れるほどのお気に入りだったりもする。しかしながら、デビュー当時から幸恵嬢を真剣に応援していたファンさまたちにとったら...

♪…ツライナ・ボク・キミガ・スキ

こんな企画モノに幸恵嬢を持ち出すナ!また違った意味で心臓がドキづく「DO-KI♡DO-KI」ナゼナゼの嵐でもみくちゃにされていたのかしらね、ナゾ。

☆作品データ
作詞:岩里祐穂 作曲:岩里未央(1984年度作品・日本コロムビア)