皆様…新年あけましておめでとうございます。
コレを読んでる皆様はどんなお正月を過ごされたのかしらん?ご家族で集まって水入らずの新年会?和風情緒タップリコンコンの旅館に泊まり、アゲ膳スエ膳の殿様キブン満喫?はたまた海外リゾートを訪れ「誘われて南南西」?南の風に吹かれながらのお正月を過ごしましたワン…なんて方もおられるのかと。
だけれども忘れてならないのが、こうして平穏無事に年を越え、お正月を安らかなキモチで迎えることのできるありがたみ。これこそが♪なんて素敵こと~そそっ、まさにHOW!ワンダフル(ナンテ素敵ナノデショウ!)に値するそのものなのだと考えるワタクシメ。だって次の日の朝に目を覚ました時、平和な一日が待っている~という保障は一切合財ないワケでゴザイマシて。ついつい忘れがちとなるこの事実…だからこそこうして1年の初めにそれをありがたく思って感謝し、これからはじまる新しい年を大切に過ごしていくようにしたいものでゴザイマスよね。って…別にどっかのお坊さんきどりで説法しようってワケでもないのだけんど。(笑)
それはそうと…昭和アイポの世界にだってHOW!ワンダフルなチューンがゴザイマシタよね。今回はココにコジつけさせて頂き、あのスタイル抜群のべっぴんさんが放ったこの1曲をレビュってみたいと思うのでありまする。
表題の「HOW!ワンダフル」は倉田まり子さんのシングル第3弾として、1979年8月21日に発売された楽曲。この頃のまり子嬢と言えば、デビュー曲「グラジュエイション」で幸先の良いスマッシュヒット(オリコン最高49位、登場週数14、5.3万枚)を放ち、新人賞にイチ早く名乗り上げ。しかしながら次作「いつかあなたの歌が」では思わぬ苦戦を強いられ(オリコン最高86位、登場週数5、1.3万枚)なにやら怪しい雲行きに。それでも他同期で新人賞候補として名を連ねていた方の多くが、デビュー曲のみチャートイン、はたまた1曲もチャートインなし!なんて状態がザラの、いわゆる“不作年”でゴザイマシタので、デビュー曲よりはお成績が下がったとはいえ、2曲ともチャートインさせたまり子嬢はかなり優秀、そして本体人気もきちんとついてらっしゃったのかと思われるのである。
この想定外の失速劇とやらがまり子陣営を奮い立たせる結果となったのか…「新人賞はまり子が獲るのじゃ!」とばかり、大手をかけるべくの勝負盤として繰り出してきたのが、本レビューの表題曲ということになる。
♪なんにも色に 染まっていない
私が変わる ただあなたの愛で
もうじき私 街ゆく人が
アー ふり向くような 女になるわ
私が変わる ただあなたの愛で
もうじき私 街ゆく人が
アー ふり向くような 女になるわ
ある男性との出逢いがキッカケとなり、愛や恋の素晴らしさを知る乙女の物語…コレが表題曲におけるおもなモチーフのようである。あら?そう言えばこれは少し前にレビュらせていただいた森田つぐみさん「少女期」における主人公さまのソレと、ほぼ似たようなものかと。なんの色に染まっていない純真な乙女が、愛されることによって色鮮やかな蝶へと変身してゆく。その色は自由自在…あなたの愛で美しく染められてゆくのヨン!といったノリか。まぁ、悪いお相手のくもの巣にひっかかってしもうた場合は、それこそドドメ色にさせられる可能性もある…ということかしらん、ナゾ。(笑)
♪男がいて女がいて 恋ができるの
あなたがいて私がいて キスができるの
なんて素敵なこと なんて不思議なこと
HOW!ワンダフル、ワンダフルラブ!
あなたがいて私がいて キスができるの
なんて素敵なこと なんて不思議なこと
HOW!ワンダフル、ワンダフルラブ!
この歌詞…アイドルポップスにしてはかなりの直球攻撃のような気がいたしません?たしかにおっしゃることはよ~く理解できるし、理に適ったソレであることは言うまでもないのだけれども。ただあちらこちらの国々で♂×♂や♀×♀の婚姻が認められはじめたご時世になるとさすがにネ…色々と物議を醸すカモしれないソレだったりも?それこそ昨今TV界をにぎわすオネエタマと呼ばれる方々の間では、↑の歌詞なぞとっくのとっとにソレ相応のモノにすげかえられ、日々是クチ三味線がなされているのではないかと思われ。(笑)
初期のレコードジャケット。なぜか途中で↑のモノとすげかえられた。皆様はどちらがお好み? |
なにはともあれ…この歌詞を手がけられたのは山上路夫氏、そして作曲は都倉俊一氏というコンビ。このおふたりはデビュー曲から3曲続けての連投ということになる。前2曲と異なっている点は、編曲も都倉センセイが手がけ、二足のわらじ状態でガムばってらっしゃることである。
都倉センセイと倉田まり子嬢のご関係…ソレはレッツヤンのサンデーズ時代に遡る。この頃から都倉センセイは彼女をたいそう可愛がられ、業界では「まり子は都倉の秘蔵っ子」と知られるようになる。そして彼女の芸名も、都倉の「倉」の字を分け与えられ「倉田」名義となる。自身の名前の一部を捧げるほど大切にしていたまり子嬢が、デビュー早々にしてケ躓くのはのは許せん!俺がまり子をスターにする!と決意表明?それこそ昭和50年代の少女まんが「スポットライト」(里中満智子|KCなかよし)の夏目誠士(なつめせいし)監督みたいにネ、まり子さんに対しての情熱がモエモエになってしまったのかしら。とにもかくにも「編曲は他人に任せておけん」とばかりのガムシャラモードに大突入されたことは多かれ少なかれありそうな気もするのである。(笑)
それはさておき、この曲にはタイトルのごとく、HOW!ワンダフル(ナンテ素敵ナノデショウ!)なモノがつまっているので、少しずつ紹介してみることにする。まず特筆すべきワンダフルは…
サビメロをベースにしたイントロ
↓
シャラララ女声コーラス
↓
マイナー調
↓
サビでメジャーへ転調
↓
シャラララ女声コーラス
↓
マイナー調
↓
サビでメジャーへ転調
というこの作り。どうよ、コレ…あたかも音楽寸劇のヒトコマでも見ているようなキブンにさせてくれるものであり、それこそ都倉センセイがお得意とされていたミュージカル仕立てといったものに相当するのかと。主人公がひとつの愛をキッカケにし、きらびやかな女性へと変貌してゆくさまが、メロディとアレンジを通じて上手に表現できているのではないかナと。転調の仕方も実にナチュラルであり、不自然さや無理やり感は一切合財感じさせないのはさすがの都倉センセイといったトコロ。
ただこの楽曲のアレンジ…はて?どこかで耳にしたような気も…?まぁ、都倉センセイが編曲を手がけた…ということは、映画音楽やら洋楽やら…これまでの作品にも見られたように、なにかしら下敷きと呼ばれる存在がありげなのは確か。でもってイントロ後からの洋楽っぽいアレンジを何度も聴いてハタと思いついた曲…ソレはザ・ビーチ・ボーイズの「グッド・バイブレーションズ」…コレなのでありまする。クリソツというワケではないけれど、なにか似通った雰囲気がムンムンとしませんこと?ベースの動き、タッタッタッタッと刻む譜、そして前半マイナーで後半メジャーになる展開などなど。ワタクシメにおける勝手な思い込みになるけれど、おそらくはこの作品が「HOW!ワンダフル」の下敷きになったのではないかとネ。
そしてお次のHOW!ワンダフル(ナンテ素敵ナノデショウ!)は、まり子嬢の歌声…コレでゴザイマスよね。まり子さんの歌唱法と言えば、おクチを大きくタテに開けて唄うという、いわゆる正攻法の合唱隊方式…でゴザイマシタ。おそらくコレは都倉センセイから懇切丁寧にご指導を受けた賜なのかとも思われるのだが、この唄い方によって、まり子嬢における清純なイメージはグイ押しされていたのは確か。ただし、そのキマジメさが後にアダになってしまった?と思われるトコロは、以降のシングル曲に関してもやや感じられたりもするのだが。本楽曲におけるミュージカル仕立ては、まり子唱法にピッタリコンコンなのは言うまでもないところ。それこそ、ひとり舞台上でスポットライトを浴びるまり子嬢が、おメメとおクチを開きまくり「♪みんなが~ふりむくような…オ・ン・ナに~な~る~わぁあ~」タダーーンダダーンダダーーン!みたいな、ソレ特有の大げさノリでね。(笑)
これらの他にも、イントロ部分のるんるん気分にさせてくれるような70年代風女声コーラス、最後のサビ繰り返しで半音上がる王道手法、お上品なエピローグなどなど…シンプルにも思える作品ながら、色々と聴きドコロが多いのも特長なのである。
ウ~ン、BEPPIN!ナンテ素敵ナノデショウ!楽曲には“何か素敵な事がおこりそう”というキャッチコピーも。キマジメなまり子嬢らしく?各賞受賞に対してお礼のおコトバと今後の抱負も添えられている。 |
これだけのHOW!ワンダフル(ナンテ素敵ナノデショウ!)をつめこんだ作品なんだもの…売れないはずはゴザイマセンよね。それになんといっても都倉センセイがまり子嬢のために一球入魂!で作られた作品だもの。で気になるオリコンでのお成績はと言うと…最高52位、登場週数20、7.4万枚を売り上げて、最優秀新人賞に手をかけられる強力な一発となったのでゴザイマシタ。あら?だけど最高位は意外と低めだったようで...もっと上位のイメージがあったのだけど?それでも次作がチャートインしてくるまでの間、20週(5ヶ月)にも渡り100位以内にチャートインしたというのは大したもの。それだけ多くの人々に太く長く愛された…という証でゴザイマしょうかね。まさに…
♪HOW!ワンダフル |
この頃から“まり子マジック”とやらが効いていたのかしらね、ナゾ。なにはともあれ…ナンテ素敵ナノデショウ!この楽曲はまり子さんの代表作と相成ったのでゴザイマシタ。こういう末広な山型ヒットこそが、本来のヒット曲と言えるような気がするのはワタクシメだけではないはず。徐々に浸透して長いこと多くの人に親しまれていくという...いくら初動でミリオン売りさばいたからって…ネ。♪てんで話にぃ~なら~ない~わぁ~by美川...のキモチなのでありまする。(笑)
☆作品データ
作詞:山上路夫 作曲:都倉俊一(1979年度作品・キングレコード)
作詞:山上路夫 作曲:都倉俊一(1979年度作品・キングレコード)