キザ過ぎる言葉の理由を聞くと
「悩んでるーって顔してっから、何て言えばいーかわかんなくてさぁ」
と照れ笑いするところがあまりに彼らし過ぎて、彼女はふふっと笑った。

そして、チョコを包み紙から抜き取り銀紙をしゃりんと破る。
その音が彼女の冴えない気持ちも一緒に破った気がして、やっと心の底から笑顔になれた。

「ありがとう。ダイキも食べよ?」
差し出されたチョコの破片とすっきりした笑顔の彼女とを交互に見ながら、彼はなんだよぉ、とぼやいた。
よくわからないが、なんだか悔しい。

「で、何があったの?」
答える代わりに彼女は微かに頬を赤らめて、唇にあてていたチョコを彼の口に入れた。

目を丸くして、でも口元は嬉しさを隠しきれない彼を見て、はにかみながら彼女もチョコを食べる。
「いーの、もう。」
へへっと笑う彼女を見て、拗ねた顔の彼はわざとらしい大きな動きで彼女の肩に腕を回してひっぱった。
悔しまぎれに、彼女のカバンが脇腹に当たるのも構わずに反対の手で頭をぐりぐりとやる。
「んだよ、心配させやがってー」
「痛いったらぁ」
言い終える前に笑ってしまった彼につられて、彼女も吹き出してしまう。
「もうへーき。ありがとう。」

たぶん今まで見たことのなかった満面の笑みに見惚れてから、ふと彼女のカバンに目が留まった。
ポケットで光るプレーヤーのタイトル表示に、彼は耳まで真っ赤になってしまう。
「オレの、曲…?」
彼女も同じくらい赤くなって、視線を合わせられないまま大きく頷いた。

「私の、特効薬。」