寒さに身を震わせながら望美は山道を歩いていた。
京の秋は紅葉が色とりどりの美しさを見せているが、寒さもまた日々深みを増している。
ちょっとした散歩に出るつもりがすっかり遠くまで来てしまった。
「うー寒いなぁ。」
思わず独り言を口にすると、その声は白い煙をはらんでから辺りにゆっくりと散っていった。
ざくざくと音をたてて落ち葉の上を前に進む。
どこに進んでいるのか望美自身考えてはいなかったが、それでも京邸に戻る気にはなれなかった。
弁慶さんが、いるから。
この運命でもやはり、彼は源氏を裏切るのだろうか。
そう思ってしまうのはこれから彼が、自分がたどる運命をすでに知ってしまっているから。
「こんな所にいたんですか、ずいぶん探しましたよ?」
「!弁慶さん。」
突然の声に勢いよく振り返ると、そこには弁慶が柔和な笑顔を浮かべて立っていた。
少し顔が赤い所をみると、ずいぶん探したと言うのは本当の事なんだろう。
「どうしてここに。・・・あ、というか探したって・・・あのごめんなさ・・・。」
言いたいことが動揺してどうにもまとまらない望美を抱き寄せて、弁慶がふわりと笑う気配がした。
驚いてわたわたと身をよじる望美をもっときつく抱きしめながら弁慶は望美の頭に自分のあごを乗せた。
「まったく、こんなに体を冷やして、いけない人ですね。」
「あ、あのっ。」
「君が朝から邸を出たきり帰ってこないと白龍が心配していて・・・。」
「あ・・・ごめんなさい。」
「いいえ、それに探しに出たのは僕がそうしたかったからですしね。」
少し体を離して望美の顔を覗き込むと優しく微笑む。
それをみるとどうにも顔が火照ってしまうのだが、今は同時にひどい悲しみが望美を襲った。
様子がおかしい腕の中の少女に弁慶は首をかしげてその名を小さく呼ぶ。
それに反応して顔をあげるも、相変わらず望美の表情は曇っていた。
「どうかしましたか?」
「いえ、やっぱり少し寒いなって。でも弁慶さんはあったかいですね。カイロみたい。」
「かい・・・ろですか?」
「あ、えーと湯たんぽっていうんですか?あの・・・ようするに体を温めてくれるものなんですけど・・・。」
「ああ。君が望むならいくらでもこうしていますよ?」
「え、いえあの・・・この体勢はちょっと・・・。」
そう言って目を泳がせる望美を面白そうに見つめながら、
弁慶はその先を意地悪く促した。
「ちょっと・・・なんですか?」
「は、はずかしいなっ・・・て。」
「ふふっ、そうですか。なら尚更放せませんね。君のそういう表情を見るの、僕好きなんです。」
人好きのする笑顔にちょっぴり子悪魔な笑いを含ませながら言い放つ。
口をぱくぱくさせてそれを見返す望美の反応を一通り楽しんだ後、弁慶はゆっくりとその身を開放した。
篭っていた熱が名残惜しげもなく離れ、また前と同じような寒さが身をつつんだ。
「なんて、あまり神子をいじめると八葉として失格ですね。
さぁ皆も心配していることですし、そろそろ邸に帰りましょうか。」
「・・・はい。」
先の望美の様子を気にしつつもそれを顔に出さないようにして手を伸ばした。
今更聞いて答えてくれるようなら、こんな風に外を一人徘徊したりはしないだろう。
「え?」
「これくらいは、許されるでしょう?」
そうして、弁慶の大きく温かい手がそっと望美の手を覆った。
じわりと温もりが広がって、二人はゆっくりと邸に向けて歩き出す。
大切な君を守りたい。
だから言えない秘密がある。
君が今何を考え何にそんなに心憂かせているのか分かることは出来ないけれど、
僕から誓いを語る気もまるでない。
君を守りたい、ただそれだけの真実さえ見失わなければそれでいい。
「紅葉が綺麗ですね。」
「そうですね、今度皆でゆっくり散策に来たいな。」
「・・・いいですね、きっと全てが終わったらそれも叶いますよ。」
そこに自分はいないけど。
君が笑っているならばいい。
「早く、戦が終わるといいですね。」
「終わりますよ、君がこんなにも頑張ってくれているのだから。」
ねぇ、弁慶さん。
貴方は私に秘密を持っている。
それは優しく残酷な秘密。
だから私にもけして言えない秘密があること許してください。
貴方が好きです、だから貴方を守りたい。
貴方の裏切りを引き止める。
これは私の言えない秘密。
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弁慶ルート書き換え後は別に京に来なくてもいいはずですが・・・まあまあ。許してください。
彼の中では望美を自分のシナリオどおりに操ってるような、そんな感じで、
でももうその心の内を全て知っている望美にはその上からさらに包んだ考えがあって・・・みたいな。
そんな感じで(どんな感じだ)書きました。
相変わらず表現がお粗末で頭が上がりません。
そして日記も書いてはいるけれどいい加減ジャンルが日記なのかゲームなのか
全くもって怪しいブログになってきました。どうしよう。
フリー企画お題:秘密 クリアってことで・・・。いいよもう。