桜舞う風の中
誰も居ない並木道
昼夜も分からずに一歩、また一歩
地面に降りつもる薄紅色の花弁
踏むともなしに
避けるともなしに
不意に覚える違和感
立ち止まって両手を掲げる
その中に受け止めた
大きな花弁
桜の花びらのカタチをした
大きな花弁
気付くとそこかしこ
桜の花びらに混ざって
不自然に肥大した花弁
両手で持ってもはみ出すほど
紫陽花の葉のように大きい
振り仰ぐ木々に咲く
大小入り乱れた奇妙な桜の花
それは桜なのか
桜と呼んで良いものなのか
答の分からないまま
ただ一つ感じたこと
この大地は蝕まれてしまったのだと
桜さえ在りし日の姿では咲いてくれないのだと
呼吸することを躊躇われるほどむせぶ春風に飲まれて
息苦しくなった
春の陽射しが射し込む部屋で
そんな夢を見た
蝕まれていたのは夢の中の大地ではない
私の心の方だと知った