生き物みたいに電線の渡りの上を這って、青い幕の上を滑って、高みを目指してゆく。眩い白銀を纏えず、濁った太陽の色を映して、暮れゆく空にぬめってゆく。知らなかった。こんなにも生々しく動くこと。知らなかった。こんなにも早く動くこと。月と電線。普段は気にもかけない組み合わせ。今夜はやたらと気になった。