飲み会は嫌いじゃない。
他人に興味の無い私でも、他人の話に触れられる唯一の機会だから。
みんな、色々な経験をして、色々なことを思って、色々な話題を持ってくる。
だけど。
恋愛に関するアレコレな話題は、好きになれない。
人に明らかにすることではない。
人を暴くものでもない。
と、私は思う。
だから。
『どう?』
と聞かれても、私は答えようがない。
『いえ、特に』
としか、答えられない。
『本当に?女っぽくなったと思うんだけど?』
と聞かれても、私は答を知らない。
私のアイデンティティが、恋愛で左右されることは無いから。
他人の恋愛事情を知りたいと思うのは、どういう心理なのか。
他人の恋愛事情を話題にするのは、どういう心理なのか。
それは、あって然るべき興味なのか。
それを、好まない私は余程頭が堅いか古いのか。
踏み込まれることを嫌うのは、その人を、その場にいる人たちを、信頼していない事の顕れかもしれない。
誰かを好きになって。
胸の中があたたかい気持ちで満たされて。
両手から溢れるほどの幸せを抱いても。
それを、自分だけの宝物にしておきたいと願うのは、愛に対するエゴなのか。
誰かを失って。
胸の中が空っぽになって。
両手からぬくもりのすり抜けていく孤独を覚えても。
それを、自分だけの痛みにしようと塞ぐのは、喪失感さえ独占したいエゴなのか。
人は、愛だけで生きるものではない。
さりとて、愛を持たずに生きられるものでもない。
そして。
私は。
愛する人があるから、女に変わることはなく。
愛する人を失うから、女を捨てることもない。
そのスイッチは、心の奥深く。
誰の目にも触れない場所から探り出した、『きみ』にしか入れられない。
そのスイッチは、心の奥底で。
探り出した『きみ』だけが、起動した『わたし』に出会える秘め事でありたい。