ノックしたドアの向こう。
本に目を落とす横顔。
ページをめくる指先。
何気ない仕草が心をくすぐった。
振り向く視線。
微かに笑う口元。
吸い込まれそうな錯覚を振り払う。
そんな君に必要とされたくて。
そんな君に認められたくて。
どうすればいいんだろう。
気持ちを伝える術はあまりに拙くて。
言葉にしても全てが薄っぺらくて。
結局。
この気持ちの全てでぶつかっていくしかない。
体ごとぶつかっていくしかない。
うまいようにあしらわれても。
肩透かしにあっても。
ぶつかるまで。
君に向かっていくしかない。
受け止める腕はあまりにも甘いから。
そこに溺れないように。
しっかりと目を開けたまま。
目指す場所は同じ君だから。
たくさんの目を掻い潜って。
今宵も君の部屋のドアを。
覚悟を決めてノックする。