彼女は一人だと言っていた。
身寄りも無ければ、親しい友達も居ない。
ひとりぼっちだと言っていた。
俺は家を飛び出した。
家族も友達も捨てて、家を飛び出した。
ひとりぼっちだと思っていた。
彼女は言った。
俺には帰るべき場所がある、と。
みんなが俺を待っている、と。
ひとりぼっちじゃない、と。
分かっているけれど、帰れない理由がある。
俺が家を飛び出したのは、家族の為。
帰ったら、みんなは優しく受け入れてくれるだろう。
だけど帰れない。
新しい理由も出来た。
彼女をひとりぼっちにしたくない、という理由。
なのに。
彼女は、ひとりぼっちをやめようとしない。
彼女は、俺を受け入れてくれない。
一緒に居られれば、ひとりぼっちの痛みは無くなるのに。
俺が、守ろうと思ったのに。
彼女は俺を、家族の場所に、導いて消えていった。
淡くて儚い想いも弾けて消えた。
暗くて寂しい場所に、彼女はいつまでひとりぼっちでいるんだろう。
俺では埋められなかったものを、誰が埋めるんだろう。
誰が君を守るの?
手遅れでもいいから、俺にも少しは守らせて。
願って止まなかったけれど、俺には無理だった。
俺では、彼女をひとりぼっちにさせてしまう事が、必然のようだった。
そして俺は。
人生最後の失敗を犯して、彼女の泣き顔を見ながら、
息絶えた。