ひとりぼっち | ・・ 夢と現の朧なる ・・
彼女は一人だと言っていた。



身寄りも無ければ、親しい友達も居ない。

ひとりぼっちだと言っていた。







俺は家を飛び出した。



家族も友達も捨てて、家を飛び出した。

ひとりぼっちだと思っていた。







彼女は言った。







俺には帰るべき場所がある、と。

みんなが俺を待っている、と。



ひとりぼっちじゃない、と。







分かっているけれど、帰れない理由がある。

俺が家を飛び出したのは、家族の為。



帰ったら、みんなは優しく受け入れてくれるだろう。

だけど帰れない。







新しい理由も出来た。



彼女をひとりぼっちにしたくない、という理由。







なのに。







彼女は、ひとりぼっちをやめようとしない。

彼女は、俺を受け入れてくれない。



一緒に居られれば、ひとりぼっちの痛みは無くなるのに。



俺が、守ろうと思ったのに。







彼女は俺を、家族の場所に、導いて消えていった。



淡くて儚い想いも弾けて消えた。





暗くて寂しい場所に、彼女はいつまでひとりぼっちでいるんだろう。

俺では埋められなかったものを、誰が埋めるんだろう。







誰が君を守るの?



手遅れでもいいから、俺にも少しは守らせて。







願って止まなかったけれど、俺には無理だった。



俺では、彼女をひとりぼっちにさせてしまう事が、必然のようだった。







そして俺は。



人生最後の失敗を犯して、彼女の泣き顔を見ながら、







息絶えた。