今回はアリアケジャパン(2815)の業績の検討であるが、前回のロック・フィールド(2910)同様、通期業績の時系列データを整理するところまでになる。


まず、アリアケジャパンのホームページにアクセスする。

http://www.ariakejapan.com/



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ロック・フィールド同様5期分の決算短信に実績が載っているので、2005年3月期からのデータを時系列で見ることができる。



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アリアケジャパンの場合は、ロック・フィールドと違って業績が大きく悪化している。


2006年3月期に約58億円あった営業利益が2010年3月期には29億円と半減している。それゆえの株価下落であることがわかる。


しかし、一方で今期の予想を見ると42.3%営業増益となっており、急回復を見込んでいることがわかる。


すでに今期は上期決算が終わっており、上期の決算短信を見ると、前年同期比32.4%営業増益となっている。


下の表は上の表に新たに半期ベースの業績を加えたものである。半期ベースの業績は半期の決算短信に載っているので同じくHPの決算短信のページからダウンロードすることができる。


ただし、通期の会社計画の営業利益を達成するためには、下期の営業増益率は50%を達成しなければならない。


つまり、会社計画からは減額修正になるかもしれないということは、頭に入れておいたほうがいいかもしれない。



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とは言うものの上期の売上高は17.1%も伸びており、ここしばらく低迷していた業績も回復の方向にあることは間違いなさそうである。


とりあえずアリアケジャパンに関しては、現時点ではこの程度の理解でいいだろう。

さて、前回はロック・フィールドの業績表から、同社の業績は好景気で向上し、不景気で悪化するので、好景気になると思えば投資し、不景気になると思えば見送るという考え方がベースになることを述べた。


ただし、この文章の中に実は株式投資の最も難しい問題が含まれているのである。


まず、第一には今後景気が良くなりそうか、悪くなりそうかの判断自体がかなり難しいことがある。


普通の考え方では、景気が良くなってから景気がいいと実感し、同時に今後も景気が良くなりそうだと思いがちである。


そして、世の中が総悲観の時には、自分もまた悲観的になっていることが多い。これを株価に当てはめると、景気が良く、さらに良くなると思っているときに株価は天井をつけ、総悲観のときに底を入れるものである。


つまり、自然体で物事を考えると、往々にして株式投資では天井で買って、底で売るという行動をとりやすいのである。


それでは、どうリスクをヘッジするか。


これに関しては、すでにここまでの解説においても何点か触れていることである。


一つは、10年ほどの株価推移を見て、株価が底値に近いということでリスクヘッジとなる。その点についてはこちらで解説している。→実際に買う銘柄を検討する


そこで、前回説明した業績の推移と株価を比較して、業績に比べて株価が大きく売られているかどうかを見るわけである。→決算短信の見方‐3


今回話をしているロック・フィールド(2910)やアリアケジャパン(2815)の場合は、業績の割に株価が大きく売られているケースである。


株価と業績の関係には、これ以外にもいくつかのパターンがある。そのひとつが業績も大きく悪化し、株価も大きく下がっているケースである。これをどう考えるかはかなり難しい。


シクリカルな業種では大幅な悪化と好業績を繰り返すので、会社がつぶれそうなときに投資すると、大儲けできることもある。しかし、本当にそのままつぶれてしまうこともある。


これらは、ケースバイケースで時間をかけて学んでゆくしかないので、まずは業績の割に大きく売られている銘柄のほうが無難であろう。


次に、純資産との比較で、割安感があること。それはここで説明している。 →決算短信の見方


具体的には以上のようなポイントに注意をして銘柄を選ぶことによって、経済情勢に対する自分の感じ方や予想が間違っていることをヘッジするのである。つまり、その見方が間違っても株式投資による損失を最小限にとどめる方法である。


一方、これとは全く逆で、どうせさまざまな予測は間違うのであるから、あえて予想をしないという方法もある。これも基本がわかってからできることであるので、もう少し先に行ってから話すことにする。


それと、業績をベースに株価を考える場合には、あまり多くの人が見ていない銘柄を選ぶということも一つのポイントになる。


どうしても世間に知られている企業のほうが安心感もあるので、特に初心者はそちらに流れがちである。


しかし、誰でも知っている立派な会社は、専門家が目を皿にして細かいことまで見ているのであるから、それに素人が挑んでも勝つ可能性は低いし、そもそも多くの投資家が注目しているので常に割高な評価となっていることが多い。


とりあえず、今回はここまでとして、次回には企業分析の初歩のもう一つの例であるアリアケジャパンの例に話を移そう。

今回もロック・フィールドを例にとって、企業業績の見方を解説する。


前回、企業の業績を見るには、営業利益を見ることが大切であると述べた。通期業績の決算短信には、この営業利益が実績2期分と予想1期分が掲載されている。しかし、これだけのデータでは、会社の業績が時系列でどんな位置づけにあるかわからない。


そこで、過去の決算短信をさかのぼって、時系列の営業利益推移を見ておく必要がある。 IR資料には、平成18年からのデータがあるので、平成17年4月期から平成22年4月期までの6期間の実績データが取れることになる。


下の表はついでに、売上高、経常利益、純利益も合わせて抜き出したものである。



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(この表はクリックすると拡大できます。)


株式投資のために企業の業績を考えるにはまず、この表を見てあれこれ仮説を立ててみることである。その根拠となるものは、すでにここまでの説明で見てきた同社の事業内容などである。


それでは少し仮説を立ててみることにしよう。


まず、ざっと業績を眺めてわかることは、売上高の変動が小さいということである。営業利益の変動もそう大きくはない。


ただし、営業利益は2005年4月期から2008年4月期まで順調に拡大した後、2009年4月期に落ち込んで、2005年4月期を下回っている。


2009年4月期はどんな時期であったかというと、リーマンショックに重なるということくらいは思いつこう。つまり、日本も含めて世界的に経済環境が悪かったということである。


同社の事業はデパートの地下で惣菜を販売することである。デパートの地下で惣菜を買う人を想像すれば、ある程度生活に余裕がある人ということになる。


それでも経済環境が悪くなれば、収入が減ることもあろうし、収入に変化がなくとも経済環境が悪いから支出を抑制したことが考えられる。


一方、2010年4月期の業績は売上高が3.1%減少したにもかかわらず、営業利益は7.3%の増益となっている。企業活動では利益は売上高からもたらされるものであるから、減収時に利益が増加する背景には企業の工夫がある。


2009年4月期の場合は逆に、売上高が0.2%増に対して、営業利益は25.9%も減少している。


こちらの場合、2007年4月期、2008年4月期と同社にしては比較的高い伸びが続いていた売上高が急減速した。そのため、利益が大幅に減少している。


企業経営では減収でなく、減速でも収益が悪化することがしばしば起こる。当然、売上高が好調であれば、積極的により売上高を上げようとして、店舗を増やしたり、従業員を増やしたりする。


そこで、売上高の伸びが見込みを大きく下回ると、大幅な減益となることがしばしば起こる。


このように仮説を立てながら企業の業績推移を見ると、およそのイメージがつかめる。そのイメージを元に今後の業績を予想することになる。


まず、ロック・フィールドの業績の単純なメカニズムは、好景気で好調となり、不景気で厳しくなると考えられる。


そこで、投資スタンスとしては景気が良くなりそうであれば買い、景気が悪くなりそうであれば売るという投資行動がまずは考えられる。