「きのう、ハンバーグ食べたなあ」
と、ポポが言っても、ほんとうに昨日ハンバーグ食べたわけではない。
今より過去を表現するのに、すべて「きのう」と言っているのだ。
一時間前も、昨日も、一週間前も、もしかしたら一年前も。
記憶している過去のすべてが「きのう」という言葉に集約されているらしい。
まだ、ポポには過去がそれくらいしか存在しない。
そういえば。
自分がコドモだったころ、もっと大きなコドモである中学生なんかが
「昔、ここに来たことがある」と言うのが不思議だった。
昔、という言葉は絵本の中の「むかしむかしあるところに」というイメージでしかなく。
そんな過去が、この人にはあるんだろうかと、コドモなりの頭で考えた。
そんな逡巡はなかったように、昔という言葉が身近なオトナになったけど。
ポポには、まだ「昔」がない。
「きのう」以外の言葉で、過去を表現するのは、いつ頃のことになるだろう。