先日の授業中,こんなことがありました。

「新古今和歌集を編纂指示をだした人物は?」
という問題で,正解は「後鳥羽上皇」でした。

そこでわたしは次のように解説を入れます。

『後鳥羽上皇は1221年に承久の乱をおこした人物でもあるよね』

生徒はまあ普通に聞いてくれていたのですが,
不意に目の前の生徒へ問題を出してみました。

承久の乱をおこした人物って誰だっけ?

指された生徒はあわあわしていました。

嘘だろ~って思うかも知れませんが,
実際に生徒はこの程度にしか話は聞いていません。

もし質問を
『後鳥羽上皇って何の乱をおこした人だっけ?』
としていれば恐らくスラっと答えられたはずです。

つまり,生徒は話の言葉尻だけを何となくでしか聞いておらず,
当然その場でわかった気になっているだけなのです。

そこでわたしの指導魂に火が付きます。

じゃあ,これから先生が色々解説をしていって,
授業の最後に一つだけ質問をするから,代表者が答えられたら,
君ら全員にうまい棒をあげようじゃないか。

ただし,代表者は先生の方で選ぶからね。

そう言って15分ほど問題の解説をしていきます。
当然書いてあることもありますが,テキストに書いていない事も話しました。

生徒は一生懸命,一言一句漏らさぬようテキストにメモしていきます。

そして授業の最後,ある生徒を指名して問題を出しました。

『東大寺南大門に置かれた金剛力士像。製作者は運慶ですが,
他に誰がいましたか?』

この答えはテキストには書いてありません。

わたしがこの生徒を指すのには,かなり勝負を掛けました。

指された彼女は日ごろから自分にあまり自信が持てず,
発言も少なめ,声も小さめ。

今回のこれをきっかけに,少しでも自信を持ってもらえたら。
そんな気持ちを込めての指名でした。
果たして彼女はこれをしっかりメモできていたのか。

彼女は一瞬どきっとしたあと,いったん手元に視線を落とした後,
再び顔をおこして,はっきりとした声で答えてくれました。

「快慶・・・ですか?」

その瞬間,教室から歓声が上がりました。

他の生徒はうまい棒をもらえる嬉しさを表現し,
わたしは心の中で小さくガッツポーズをしていました。

心なしか,彼女の口角が上がったように見え,
どうかこれが彼女にとって成長のきっかけであればと願いました。

言いたいことは,これぐらい一生懸命授業を聞く姿勢が,
その後の復習にもつながるんだよってことです。

かしこ