うちには,犬がいる。


毎朝,出勤前に声を掛け,

毎晩,帰宅後に散歩へと連れていく。


こいつとの散歩時間はかなり有意義だ。


だいたい10分程度の短い時間だけど,

その間に今日一日にあった出来事を思い出し,

心へと刻み,明日はこうしようと心に誓う。


毎日判を押すかのごとく同じ時刻に出発し,

町内をぐるりと回ってくる。


わたしは変化を求めているくせに,

毎日同じ行動をせずにはいられないという,

案外めんどくさい性分で,それはそれは日々おんなじ日課をこなしている。


例え雨だろうが,風が吹こうが,雪が降ろうが関係なし。


とにかくリードを付け,よし行くぞと連れ出す。


でも,昨晩は雨がひどかった。


豪雨とはまさにこの事ですね,とお天気キャスターの

あまたっつあんに聞きたくなるほどの降り。


しかし,そんなもの関係ない。


わたしは濡れてもいい恰好をし,

ビニール傘をぐいと広げ,家から犬を連れだす。


引き戸をガラガラと開けた瞬間,

夜空が一瞬ピカピカっと瞬きし,すぐに轟音が鳴り響いた。


まさに雷鳴とはこの事ですね,とお天気キャスターの

もりたっつあんに聞きたくなるほどの轟音で,さすがに体が一瞬硬直した。


ちょっとやばいかな?と思案する。


横にいる相棒に目をやる。


どうする?行く?


やつはつぶらな瞳で「カミナリコワイヨ,キョウハヤメヨウゼ」と

訴えてきた(気がした)


そうか。


よし」,今日の散歩は中止だ。


わたしは案外状況判断が素早い,そして変わり身も速い男なのである。


めんどうなことに。


かしこ