『ゴールデンスランバー』

ビートルズのアルバムジャケットで最も有名であろう

『Abbey Road』に収録された楽曲。

街角の横断歩道をジョン,リンゴ,ポール,ジョージの4人が

スタスタと歩いている,あのジャケットです。


その楽曲名をモチーフに作られたのが

『ゴールデンスランバー』(新潮社)です。


著者は今をトキメク伊坂幸太郎氏。


出身が東北大学だったこともあり,

彼の作品の舞台には,よく仙台が使用されます。

このゴールデンスランバーもそのひとつ。


内容は首相が就任パレード中に暗殺されてしまい,

その犯人に仕立て上げられたのが主人公『青柳雅春』です。

彼は己の無実を証明するために奔走しますが,

大きな陰謀の前にことごとく潰される。

そんな彼を助けるのは・・・


まあミステリー作品なので全貌は書きませんが,

この作品は伊坂作品の中でも相当面白かったですね。


彼の作風は一貫していまして,別々の物語が次第に寄り合い,

最後,一気に全容を現してくるように出来ています。

予想を遥かに越える・・いや,頭に浮かんだ「?」を

すべて綺麗になぞってくれるような作品です。


例えるなら,「何が描かれているんだろうなぁ」と

パズルを組合わせてゆき,だいぶ仕上がってきた所で,

お!ひょっとしてコレは・・・と,思いながら仕上げてみると

その通りの絵が書かれている。


あれ?でも,なんか物足りないなぁ・・・なんて思って裏返してみたら

裏にデカデカと違う絵が描かれている,そんな感覚です。


人物設定が非常に丁寧で,すごくイメージしやすく,

登場人物が多い割には混乱することなく読み進められます。


わたしが好きな場面は2つですね。

1つ目はダッシュボードの「だと思った。」の場面。


2つ目は,青柳が両手を「おーい」という感じで振りながら

包囲されている場所へひょこひょこ出て行くシーンです。

頭に「?」が浮かんだ直後,ズババババっと解答を出してくれます。


各所に散りばめられた伏線を,あなたはいくつ気づくことが出来ますか?


読み終わった後に,第3部「事件から二十年後」を読み返すと

より一層奥の深さがわかるはずです。


どうです?少しは読んでみたいなぁと思っていただけましたか?


むむ,森の声が聞こえてきましたよ。

これは子守唄なのか・・・はたまた・・・


かしこ