相手が喜ぶことを言う




王子を喜ばせるのは置いといて,


とにかく人を喜ばせるひとことを考えた。




翌日,学校に行く準備をして食卓についた。




いつも何気なしに食べている食事も,


よくよく考えてみれば母さんが毎日作ってくれているんだなぁ。




そんなことを思いながら食べたとき,昨日王子が言ったことを思い出した。




「人の気持ちに気づくためには,人の気持ちになってみることが大切」




僕は自分が毎日朝食を作ることを想像してみた・・・




まず前の日に食材を買っておかなければいけないな。




そして前の晩にご飯を炊くセットをしておいて,




次の日は誰よりも早く起きて朝食の準備。




栄養のバランスを考えて作り,お弁当を用意して・・・




時間になったらみんなを起こし,顔を洗わせて,食卓へ。




・・・僕はいつも『いただきます』のひとこともない。




そこにあるのが当たり前と感じ,ただ黙々と食べて,




食べ終わったらそのまま部屋に戻っていく,食べた皿はそのままにして・・・




そう考えるとすごく申し訳なくなってきた。




すごく感謝の気持ちが湧いてきた。




でも・・・でもそれを伝えるのはちょっと恥ずかしい・・・




そんなことをごちゃごちゃ考えていたら,王子の顔がモヤモヤと頭の中にでてきた。




「あのな,自分の気持ちを素直に伝えるのは普通のことなんだぜ?」


「別に恥ずかしいことあるかい!そのままの気持ちを言え,YEAH!」




『わかっていますよ』




“えっ?何?”




母さんがびっくりして聞き返してきた。


僕は知らず知らずに声を出していたようだ。




『あ,いや。この野菜炒めおいしいなぁと思って』




“あら,そう?”


“いつもあなたがピーマンを残すから今回はピーマンを減らしてにんじんを多めにしたのよ”




『そうなんだ。いつも僕らのことを思って作ってくれてありがとうね』




“なんだか・・最近変わってきたわね。イキイキしてきたというか”


“勉強もがんばっているようだし,お母さんも嬉しいわ”




・・・僕は照れくさそうに笑って箸を進めた。




何だか人を喜ばせようとしたのに,逆に喜ばされてしまった。




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部屋に戻って王子にそのことを伝えた。




「そうか。喜ばせたら喜ばされた訳ね。当然さ」




『当然ですか?』




「おう,当然さ。誰だって人にされたら,人に返そうという心理が働くんだ」


「助けてもらったら,助けてあげよう」


「微笑んでもらったら,微笑んであげよう」


「それは『お返しの法則』とでも言うモンかな」




『お返しの法則ですか・・・?』




「人には自然とこのお返しするという気持ちが湧いてくるんだ」


「これはもちろんいい事だけではなく,悪い事でもだぜ」




『確かに。意地悪されたらやり返そうと思いますモンね




「だろ?逆に言えば褒めてもらいたかったら相手を褒めればいいのさ」


「だから自分で何かをがんばりたいときは,がんばっている人を応援すればいいんだ」




『応援・・・ですか?』




「よっしゃ!今度の課題はコレでいこう」




「がんばっている人を応援する」




『がんばっている人を応援する・・・ですか?』




「がんばれ!僕は君に期待しているよってな」




応援するか・・・


世の中にそんなにすぐ,がんばっている人なんて見つかるのかな・・・




【本日の宿題




がんばっている人を応援する




20.僕と最大の試練
 




かしこ