精算を済ませたあと、


手をつないでお店のらせん階段を降りたよね。


代表的な不倫カップルにあるような年の差は私たちにはない。


はたから見れば、普通のカップルに見えたと思う。



外に出ると雨が降ってて、私の傘は二人で入るには小さすぎて、自分の壊れかけの折りたたみ傘をさすをあなたはちょっと恥ずかしそうだった。


駅に到着して、手を振って別れたね。


電車に乗るとすぐに届いたあなたからのメール。


初めてハートの絵文字が使われたメール。


その日の夜は、枕もとにケータイを置いて、メールを何度も読み返しながら眠りについたよ。

待ちに待った二人きりの飲み会の日。


待ち合わせ場所は、駅の目立つ場所。


先に待っててくれたあなたの姿を見つけて、普段と違う場所で会うことにワクワクしたよ。



普通のカップルが待ち合わせに使う場所で堂々と待ち合わせをして、人通りの多い繁華街を肩を並べて歩く。

そんな普通のことができたのは、この日が最初で最後だったね。



あなたが予約してくれたお店はオシャレで、しかもカップルシート。


案内された席を見た瞬間、


「この人も私のこと好きなのかなぁ。そうじゃないと、こんな密室っぽいカップルシート予約しないよね?私、これだけ密着した空間でお酒飲んだりしたら、自分の気持ち抑えきれないかもなぁ・・・」と思った。



お疲れ様♪の乾杯から始まって、普段職場では話さないような兄弟のこととかを話してくれたあなた。


お酒の弱い私は、ぼーっとしながらも、幸せな気持ちであなたの話を聞いてたよ。



そして酔いがまわったのか、あなたは「cherryさんってほんと可愛いよねー」って何度も言ってくれたよね。


好きな人に可愛いなんて褒められたら、私、自分の気持ち抑えきれないよ。


お酒に酔って心臓ドキドキしてる、って言うあなたに、どれだけドキドキしてるか確かめてあげる!って口実で、あなたの手に触れた。


そして、そのまま腕をからめた。


「cherryさん、どうしたの?」


「ううん・・・」


あなたが困惑してるのはわかってたけど、腕を離したくなくて、そのままあなたのほうに顔を向けた。


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


告白はしてない。とゆうか、立場上、できない。


それでも、気持ちは通じたんだと思う。


あなたはキスしてくれた。


「好きになってしまってごめんね」


「ううん。これからどうしよう。cherryさん、あと数カ月で転勤しちゃうよね」


「そのときは我慢してよ」


このときはまだ、純粋に好きって気持ちばかりが大きくて、先のことをまったく考えれてなかった。



そのあと、帰りの時間までずっと、二人で手をつないだり腰に手をまわしたりしながら、ラブラブな時間を過ごしたよね。


今から思い返すと、このときが一番、純粋に100%幸せな気分の時期だったかもしれない。



休憩時間に会話できることだけで満足してたけど、ある日、私の連絡先を聞いてくれたよね。


付箋に自分のメアド書いて渡してくれたあなた。


今でもあの付箋、大切に保管してるよ。



「連絡先を聞いたのは飲み会の日程調整のため」って言ってたけど、本当にそれだけが目的だったのかな?


初めてあなたにメール送ったときは、本当にドキドキしたよ。


普段、絵文字なんてあんまり使わないけど、精一杯女の子らしいメールを送った。



それからしばらく、仕事終わってからメールのやりとりをする日が続いたよね。



何気ない内容のメールでも、あなたから送られてくるっていうだけで胸がキュンとした。


これ以上ふみこむと本気で好きになっちゃう。ヤバイ…、って思いながらも、自分を抑えることができなかった。



そんな日々が続いたある日、ついに二人で飲みに行く約束をしたよね。


それが、本格的な不倫への一歩だった。