「いやいや。
それはちょっとさすがに…ほら!私彼氏いるし!
って、南条くん!?
私の話聞いてる!?」

南条くんは私を置いてさっさと歩いて行ってしまった。

「彼氏いたら他の男と観覧車乗ったらいけないって誰が決めたんだ?
いいから行くぞ!
嫌なんだったら、俺は一人で乗る。」

私は南条くんが一人で観覧車を乗ることを想像して、吹き出してしまった。

「ぶっ!」

「お前、笑ったろ!
俺が一人で観覧車乗るの想像して笑っただろ!?
もういい!」

と言ってふて腐れてしまった。

「ごめんごめん。
つい…ね?
分かったよ?乗ろ!
さすがに一人では…ぶっ!」

「笑うなって!
ったく、行くぞ!」



(うーん…何か変な雰囲気…)

二人で観覧車に乗ったら、これと言って話すこともなく、沈黙に包まれた。

「なぁ、天音。
あんなことずっとあんのか?」

「?、あんな事って?」

「ほら、あの頭痛だよ。
倒れるほど痛いんだろ?」
「うん…。
高3の夏くらいから、頻度が増してきて…
まぁその前からたまにあったんだけどね。」

「原因分かってんのか?
一回病院で見てもらった方がいいんじゃね?」

「原因は…分かってるから大丈夫だよ。
ほら、もう降りよう。」

原因はきっと…



「送ってくよ。」

「え?いいよ。
今日、私がお礼するつもりだったのにゴメンね。」

「いいんだよ。楽しかったから。
それがお礼。
あと、送ってく。
それが男の義務。」

「…ありがとう。」

私は駅まで送ってもらってそこで別れた。





「ただいま-…
って言っても誰もいないか…」

今日は恭弥さんは出張でいない。

「いてるよ。」

「�!
き、恭弥さん!?」

風呂あがりなのか、髪が濡れてる。

「出張じゃなかったんですか!?」

「案外早く片付いてね。」
「そうなんですか…どうしたんですか?」

「どこ、行ってたの?
こんな時間まで。」

「えーっと、遊園地です。友達と。」

恭弥さんはじっと私を見ていた。

「…男友達でしょ。」

「えっ!?何でわかるんですか?」

「天音を見たらわかるよ。で、何で行ったの。
理由があるでしょ。」

私は全部恭弥さんに話した。

「ふーん。
頭痛の事何で僕に言わなかったの?
頻度が増してる事も聞いてないけど。」

「ごめんなさい…、迷惑かけたくなかったから…」

「馬鹿?」

「ば、っばかじゃないです!」

「迷惑じゃないから。
言ってきなよ。
…でも、他の奴が知ってて僕が知らないのは面白くないな。」

「?、きょうや…んっ!」
私はそこで口を塞がれてしまった。

口が解放されたかとおもえば、次は私を担ぎ上げた。
「今日は付き合ってもらうからね。」

「えっ?ちょっと恭弥さん?
お、下ろしてください!!」

私の願いは悲しくも聞き入れられなかった。
「え!
んで、約束してきちゃったの!?」

「…うん。」

「あんた、本当に大丈夫?」

「………うん。きっと。」
「あ゛ーー!!
私が着いていけたらぁ!
でもあたし今日、バイトぉ」

「いいよ!みれいちゃん!そんな悪い人じゃ無さそうだし。
バイトの方が大切!」

みれいちゃんは平太くんに会うためにバイトしていた。
こんな私の事で迷惑かける訳にはいかない。

「天音!
騙されたらダメよ!
男は疑わないとだめ!
いい?分かった!」

「わ、分かった…」

「じゃぁね天音?
騙されたらダメよぉ!」

って言って出ていってしまった。
うーん…
パワフルガールだ。

私はあのベンチに向かう事にした。



「南条…くん?」

またあの日のように彼は本に目を落としていた。

「お?来たか!
じゃぁ行くか!」

「行くって…どこに?」

「いいから着いて来いって!」

そう言って私の腕を無理矢理引っ張って、大学のキャンパスを出た。





「で、何で遊園地!?」

「いいじゃねぇか?
どうせ暇だろ?
だし天音を助けたのは、どこの誰かさんかな?」

「う゛っ…わかったよ。」

(恭弥さん…ごめんなさい…)

私は渋渋了解した。

「じゃぁ、あれからな!」
南条くんが指差したのは、ジェットコースターだった。

「!?!!無理無理無理!
私無理!却下!」

「ほら、行くぞ!」

「いやぁ~!」

私には逃げる術がなく、嫌々ジェットコースターに乗った。


「も、もう嫌…」

私は5回連続絶叫系に乗っていた。

「こんなんで根を上げてたらまだまだだな天音。
次にあれだな。」

そう言って指差したのは観覧車だった。
「や、やっとおわったぁ…」

やっと最初の講義が終わった。

「はぁ、疲れた…」

「お疲れ天音。
あたしちょっと用事あるから、先に帰っといて!」

「了解-!
じゃぁね、みれいちゃん!」


私はみれいちゃんと別れてキャンパス内を歩いていた。

「っ!痛いっ!」

私はまたあの頭痛に襲われた。
あの初代に会った日から、日に日に酷くなっていく。結構頻度も増してきた。

(ここで、気を失うわけには…)

目の前が霞んできた。
ここら辺はみんな講義中なので、人が居なかった。

(も、ぉだ…め)

倒れる直前で私は誰かに支えられた。

(だ…れ?)

「大丈夫かっ?」

それを最後に私は意識を手放した。



気がつくと私は大学内の公園みたいな所のベンチに寝ていた。

「あれ?
私は…」

「目ぇ覚めたか?」

後ろを振り向くと、横のベンチに本を読んでいた男の人がいた。

同い年くらいで、黒髪の短髪、なんとなく、なんとなくだけど、恭弥さんと似てる…


「あなたは?」

「ん?俺か?
俺は、南条薫。ここの医学部の学生。
見たところ同い年くらいなんじゃね?
俺一回生だし。
んで、あそこを通りかかったら倒れたお前を見て、ここまで運んだってわけ。」

「ありがとう!
私は河野天音。
看護学部の一回生だよ。
よろしくね!」

一瞬、一瞬だけど、私の名前を聞いた瞬間びっくりしてた。

「ふーん。
じゃぁ天音。今度お礼してもらおっかな?
っつーことで、明後日のこの時間にここでな!
じゃぁな!天音!」

そう言って風のように去ってしまった。

「…不思議な人だなぁ…」