あっという間に回りにいた敵を倒していった。

風に揺れる漆黒の髪が綺麗でみいってしまった。

闘い終えた後、振り向いてこっちに向かって来た。

「な、な、な」

恐怖のあまり言葉が出ない。

「君。コイツらの仲間かい?」

思いっきり顔を横にふった
「自分の身くらい自分で守りなよ。」

そう言って去ってしまった。

すると向こうからすすき色の髪をした青年が歩いてきた。

「あの…こっちに学ラン着た男が来なかった?」

「あ、あっち…」

向こうを指差した。

「あぁ、これも雲雀さんか…」

倒れている男達を見て呆れていた。

「君、もしかしてジャッポーネ?」

首を縦にふった。

「…。
ついておいで。
大丈夫。俺達は君の味方だよ。
君のお母さんの南条天音さんから頼まれたんだ。」

その名前を聞いてビックリした。

母さんがこの人に…?
この人の瞳は嘘はなかった。






「何で南条くんのお母さんは沢田さんの事を知ってたの?」

「俺の母さんとボスのお父さんが知り合いだったんだよ。
それから俺はボスと恭弥さんから特訓を受けて、マフィアになったんだ。」

「そうなんだ…」

「俺には雲の波動が流れていたから雲部隊に所属してるわけだ。

…ボンゴレの皆には感謝してるよ。」

「そっか…
ゴメンね、そんな事話させてしまって…」

「いいんだよ。
聞いて欲しかったんだ。
…お前にな。ほら、帰るぞ。」
9年前—

南条 薫__俺はイタリアの路地裏を桐の箱を両手に抱えて必死に走っていた。
「ハァハァッ…」

何で、何で俺がこんな目にあわなきゃなんないんだ。
どれもこれも全部親父のせいだ。

南条 准一はマフィアに力を貸していた考古学者だった。



変な研究に関わっていて、そのファミリーに裏切られて行方をくらました。

母親は俺が小さい頃に病気で亡くなったから、俺には頼る人が親父しかいなかった。

俺はそのファミリーに追いかけられ、母親の形見である、刀を持って逃げていた。

(大嫌いだ…親父もマフィアも)

「ガキがいたぞ!」

後ろからイタリア語が聞こえた。

(やばい…っ)

銃声がきこえ、太股に弾が命中した。

「もう逃げられないぜ、坊主。」

銃を構えて俺に迫ってくる。
俺は脚を引きずりながら、壁際まで逃げた。

死の恐怖を体現するように体が震えていた。

「じゃぁな」

もうだめだと思い目をつむった。

「ゴフッ」

鈍器で殴られたような音がした。

おそるおそる目を開けるとそこには学ランを肩にかけて、トンファーを構えた少年が立っていた。

「僕の前で、何群れてるの?」

それが10代目雲の守護者、雲雀恭弥だった。
俺は恭弥さんに用事があって、大広間に入った。

「失礼しま-す。恭弥さん。」

そこには彼の姿はなく、代わりにその横の机に突っ伏して寝ている天音の姿があった。

「天音、こんな所で寝てたら風邪ひくぞ。」

「…んっ…」

そう呼び掛けても、起きそうな気配はない。

「ったく、しゃぁねぇな…。」

俺は自分のパーカーを天音の肩にかけた。

俺は彼女と初めて会った時の事を思い出した。


***
「なんで、俺がこんなことしなきゃなんねぇんだよ。」

俺が17の時、九代目の指令でボンゴレ本部の図書館で調べ物をしていた。

いろんな書物に目を通していると、真新しそうなスーツを着た、同い年くらいの少女が入ってきた。

(誰だ?見たことねぇ顔だけど、母さんに似てる…)
それはもう似てるとかいう、レベルではない。
瓜二つだ。

驚いてその少女から目が離せなかった。
彼女は、キョロキョロしながら、俺の居ている向こう側の本棚にむかって行った。

(あっちは確か、姫の資料があるはずだ。彼女が10代目姫なのか…?)

俺は、彼女の立っている本棚越しに立ち、彼女に見いってしまった。

雰囲気は母とは違うものだが…

彼女のかもしだす雰囲気に段々惹かれていった。


「天音。」

そう言って彼女に呼び掛けたのは、恭弥さんだった。
「雲雀さん!話終わったんですか?」

彼女と恭弥さんは楽しげに話していた。

(天音…)

それは母の名前と同じで驚いた。
まさか、そんな事があるとは思いもしなかった。

彼女達は、図書館を出ていってしまった。


***
そこから俺はこいつに興味を持って、同じ大学を受けたんだ。

(あの時はただ興味を持っただけだったのに…)

天音の髪を触ると彼女は気持よさそうに微笑み、俺もそれに連れられて笑ってしまった。

(こんなに好きになるとは思ってなかった…)

でも、コイツの思い人は俺の命の恩人であり、最も尊敬する人。

天音が欲しいという気持ちと、二人には幸せになって欲しいという感情が俺の中で葛藤していた。

こんな俺は我儘でいいのだろうか…

前者が叶わないというのなら、せめて…せめて

「天音…好きだ…」

これくらい言わしてくれ…