何人の敵を南条くん一人で倒したのだろうか。

でも、敵は増える一方で、衰えをみせない。

南条くんは肩に銃弾を喰らい、フラついた。

「南条くん!」

私は南条くんに駆け寄ろうとしたが、それは叶わなかった。

敵が私の腕を後ろで掴んでしまった。

「っ離して!」

「ボンゴレの姫はまだ利用価値があるからな。
さて、南条、貴様はここで終りだ。」

そう言って、銃を向ける。
南条くんには立ち上がる気力も無さそうだ。

「お願い、やめてっ!!」




***

「どうやらバレてるらしいね」

「おやおや爪が甘かったらしいですね。」

ボンゴレファミリーも敵に囲まれていた。

「10代目、指示を。」

「目的はAだ。何が何でもヤツを捕まえろ。」

「了解。」




***

「お願い、やめて…」

これ以上この人を傷つけないで…

私は…私は本当に何も出来ない無力だ…。

(お願い…私は…私は…、)



胸の奥からドス黒い何かが流れだした。

力が増幅する。

「やめて…やめてっ!!」
私の周りは光に包まれた。


***

何だ今のは?
天音なのか?
凄い音を立てて、黒い光が建物を包んでいた。

何か悪い予感がする…



***

「天音!」

南条くんが叫んだのが聞こえた。
視界には沢山の人が倒れているのが目に入った。

そこで私は気力を失い、気を失った。

いよいよ会談の日だった。
店はその日貸し切りの為、マフィア以外のお客さんはいてなかった。

先に相手のファミリーが着いて、私と南条くんが相手をしていた。

「お酌致します。」

「すまないね。」

本当にこの人達がマフィアなのだろうか…

でも油断は禁物だ。

私と南条くんはお酒を注ぎながらも警戒を高めていた。

その時、お酒を注いでいた私の手を急に掴んで着物の袖を捲った。

「!?、旦那さん何を!?」

その下には包帯で隠されていた紋章があった。
勢いよく包帯も引き剥がされていく。

「やめて下さいっ!」

するとリーダー格の男が口を開いた。

「ご託はよそうぜ。
ボンゴレの姫さんと南条の息子よ。」

「!!!」

「バレてないとでも思ったかい?
舐めてもらったら困るね。」

どうやらボンゴレの爪が甘かったらしい。
私達の顔が分かっていた。

「南条の息子よ。
久しぶりだなぁ、覚えてるか?
お前の親父を殺したAだよ。」

「!!」

「さぁここで、親父と同じ所にいって貰おうか。」

そう言って銃を構えると同時に南条くんは、着物を脱ぎ捨てて、スーツ姿で刀を構えた。

「それは、母親の形見か、親子揃って馬鹿な真似をする。」

「どういうことだ!?」

南条くんが叫んだ。

「お前の母親もな、俺達にその刀を向けて死んでいったんだよ。」

「…!?嘘を言うな!
母は病気で亡くなった!」
「いや…、お前を守るために死んでいったよ。」

そう嘲笑うかの様に頬を緩めた。

「さぁお遊びはここまでだ、さようなら南条薫」

私は思わず目をつむってしまった。

「南条くん!」

その直後暖かい何かに包まれた。

目を開けてみると南条くんが私を抱き抱えながら、刀を構えていた。

敵は30人近くいる。
この状況では確実に不利だ。

「母さんのかたき、ここで俺が晴らす。」

そう言って彼は刀に雲の炎をともした。

借りているマンションに戻って風呂から上がると、インターホンがなった。

(こんな時間に誰だろ?)

時間はとっくに10時を過ぎている。

窓を覗くと恭弥さんが立っていた。

あり得ない…
彼はまだイタリアのはず…だし、ここを知っているのは、沢田さんと南条くんだけのはずだ。

(どうして…)

そんなことを考えていると恭弥さんがトンファーを構えてドアを壊そうとしている。

「ちょっ、ちょっと待ってください!」

そう言ってドアを開けると恭弥さんが中に入ってきた。

「分かってるんなら、早く開けなよ。」

「どうしてここを?」

「沢田にはかせた。
勝手な事をしたからね。
噛み殺しといたよ。
…帰るよ。」

「ちょ、ちょっと待ってください!
私は帰りません!」

恭弥さんは少し驚いたように目を見開いた。

「最後までこの仕事はやり遂げます!
…何としてでもです。」

私は恭弥さんの目をしっかり見て意思を伝えた。

恭弥さんはしょうがないと言うようにため息をついた。

「…分かったよ。
本当にしょうがない子だよね。」

「ありがとうございます!恭弥さん…
あ!お茶いれますから上がってください!」

私はお茶をいれていると、恭弥さんはリビングの方に歩いていった。

「お茶です。
恭弥さん…
南条くんから話を聞きました。
恭弥さんって、優しいですよね。」

「…覚えてないね。」

嘘だ。
本当は絶対覚えてる。

「そういう所も優しさですね。」


「天音の任務が終わるのは、明後日の会談までだよね。
明後日には絶対戻ってきなよ。
気をつけて…おやすみ」

そう言って私のおでこに軽くキスして出ていってしまった。