あのマフィアの会合からもう、一週間以上になる。

一向に天音は目を覚まそうとしない。

あの時の…、二年前天音が初代姫に会った日の僕の夢が現実となってしまった。

「ねぇ、目覚ましてよ…」
意識のない天音に話し掛けても、反応が帰ってくるわけではない。

それは頭では分かっていた。分かっていたけど、どうしても心がそのことを否定していた。

「ねぇ…いつも見たいに笑ってよ…」

どうして反応しない?
目開けてよ?
僕のこと嫌いになった?

…どうしてこんな事になった?

どうして…


何かを深く考えるように恭弥は黙ってじっと天音を見つめた後、部屋を出た。




それから恭弥は天音に近づくことはなかった。


***

「おい、ツナ」

リボーンが少し呆れた様にこっちを向いて話しかけてきた。

「何?どうしたの?」

「……雲雀の様子が異常な程おかしい。
任務には一応支障はないが、殺さないでいい敵まで皆殺しだ。
これじゃ、相手マフィアの情報すら掴めねぇ。」

「…天音ちゃんか…」

「アイツ、この頃天音に近づこうともしねぇ。
長期任務ばっかり取るし、財団の仕事も外で、帰りは夜中だ。
…たまに女の匂いがプンプンするしな。」

リボーンが嘲笑うように言葉を吐き出した。

あれから、天音ちゃんは目を覚まさない。

シャルマにも診てもらったが、あの男でもお手上げらしい。
原因が分からないから手の施し様がないのだ。

「…薫は?」

そういえば、彼の姿も数日見ていない。

「南条のヤツは誰かと違って天音に付きっきりだ。
…天音がああなったのは、自分のせいだと思ってやがる。
まぁ状況的に仕方ねぇがな。」

「…。
本国の姫から連絡があったよ。…全部夢で見たって。あれは、力を調節出来なかった天音ちゃん自身の問題だって。
雲雀さんと薫にも伝えたいけど、その様子じゃ二人とも聞いてくれそうもないね。」


ツナはため息をついた。

***

目の前には眠っている天音がいる。

あの日の光景が瞼の裏にいつもあった。

「ごめんな、天音…」

自分さえ強ければこんな惨事を招かなかった。

全ては自分の弱さ故。

母の事を言われて動揺していたのかもしれない。

天音は力の反動のためか、ここ2,3日熱でうなされていた。

俺は横にある解熱剤を手にとって、口に含んだ。

(ごめんな、天音。
今は…我慢してくれ。)

薫は水と共に、薬を天音の口に移した。