今日は月命日で
休みを取っていた
お坊さんが来るのは九時から十時
昨夜は録り溜めていた
ドラマを明け方まで見ていた
朝早く、7時前に
玄関のチャイムが鳴った
寝ぼけた頭で
なんだよー、休み位ゆっくり寝かせてと
思いながらドアを開けた
うちの両隣は80代のご夫婦だ
この時間に回覧板とか
当たり前に来る(笑)
どうせ、回覧板だろうなと思いながら
寝間着のスウェットのまま
おはよう!
雪だらけになった母が居た
な、なしたの?
びっくりして聞くと
〇〇さんの月命日だから
休み取ってきたよ
ねーちゃんも忙がしいだろうから
掃除してあげようと思って
電話くれたら、駅まで迎えに行ったのに
そう言うと、母は笑いながら
歩くのが早いのが、ママの取り柄だから
と、言いながら私に荷物を渡した
中身はお花やらお供え物やら
子供達へのお土産のジュースやお菓子
朝御飯にと、思ったのだろう
母の握った、でっかいおにぎりが8個
父が体のでかい人だったから
母の作るおにぎりはとても大きい
学生時代、友達に笑われた記憶があるほど
大きくて、おいしいおにぎり…
自宅から最寄り駅まで
こんな重たい荷物持って
雪の中歩いて…
更に電車に乗って来てくれたんだ…
寒いから入って
そう言ったのに母は
雪かきして、車停めるとこ作ってしまうから
そう言って、そのまま雪かきを
し始めた
私は母の持って来たお花やお供え物を
仏壇に供えて
お線香を上げた
子供達用のジュースの他に
私用に、缶コーヒーも入っていた
まだ寝ぼけた頭で
缶コーヒーを飲みながら
タバコを一本吸った
子供達をあわてて起こして
私も外へ出た
母の仕事は早い
綺麗に雪かきされていた
私に気づいた母は
もう終わったから
子供達とご飯食べようと言った
子供達が学校に行く前に会いたいから
早く来てしまい、迷惑かけてごめんね
そう言って、ニコニコと笑った
母の愛と同じ位
大きなおにぎりをみんなで食べた
子供達が食べる姿を楽しそうに
みつめていた母
食べ終わるのを見ると
すぐに動き始めた
掃除機をかけ
トイレと玄関を磨きだし
犬の散歩へ出て行った
私はまだ、頭がぼんやりしていて
動けずコーヒーをすすり
タバコをくゆらせていた
息子が
ほら、母さんも動かないと
ばぁちゃん、ほっといたら
屋根の雪降ろしも始めるぞ、きっと
私をからかうように言った
でも、本当にほっとくと
母はとことん、働く
散歩から帰って来た母に
お茶をいれるから座って
と、声をかけると
いや、仏壇の掃除してからもらうわ
と、今度は仏壇と、四人の遺影を
磨き始めた
散々苦労させられた元の旦那とその両親
わがまま親不孝娘の旦那
そんな四人の遺影を
丁寧に磨いていた…
そして、押し入れから
雛人形を出して飾り付けし始めた
母がようやく腰を下ろしたのは
お坊さんがチャイムを鳴らしてからだった
お経が始まると
母は、静かに眠っていた…
お坊さんが帰る時は深々とお辞儀をして
外へ出て、車が見えなくなるまで
立っていた
どうしてこんなにパワフルなんだろう
どうしてこんなに優しいのだろう
母は本当にすごい人だと
いつも思う
いつも笑顔で
いつも元気だ
だから、去年倒れた時は本当に
ショックだったけど
今は検査の結果異常なく
仕事も毎日頑張っている
近所のスーパーが開く時間になると
買い物に行こうと言い出した
かごにいっぱい、お菓子とジュース
子供達が好きな果物やお肉や魚
たまにしか来れないからと
買ってくれた
帰って来た娘が喜んで
お菓子を吟味している姿を
母は幸せそうにみつめていた
そして、子供達と鍋を食べて
母は子供達の学校の話や
テレビの話をニコニコしながら
聞いていた
食べ終わると子供達と母は
食器を洗い
娘とお風呂に入った
それから
息子と娘と私で家へ送った
母は
今日はありがとう
すごく楽しかった
風邪引かないで、元気で頑張って
そう言って
颯爽と家に入って行った
帰り道息子が言った
ばぁちゃん、かっこいいね
私は
うん
そう答えるのに精一杯だった
月命日に母が
来てくれる
私も旦那さんも幸せものです
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