Yさんとは、文通を通じ読んだ本の内容や今後の進路などについてやり取りしていました。
こちらの同級生だった女子とも交流があるようでした。
彼女の誕生日に、星の王子様の本を送りました。
私の誕生日には、彼女が編んだ長いマフラー届きました。
女性からプレゼントをもらうのは初めてのことだったので、とても嬉しかったです。
彼女の私への想いがこもっている様でした。
学年が上がり3年生になりました。
相変わらずぱっとしない高校生活でしたが、進路を決める重要な時期になりました。
実は、父はアルコール依存症で、毎日お酒を飲んでいました。
普段は、真面目で穏やかな小心者でしたが、酔うと人が変わり、暴れたり暴言を吐いたりする人でした。そんな父でしたが、子どもには優しく、不器用な生き方しかできない父が好きでした。
両親の一族に、医療系に進んだ人はいませんでしたが、医師になることが望まれました。
子どもを医師にしたかったのは、母の希望でした。
母は、小学校の教師をしていましたが、若い頃医師になりたかったそうです。
医学部に行くほどの学力はなく志もなく、かと言って別の進路も思い浮かびませんでした。
好きな科目は、生物と地理でした。
医学部の受験科目は、理科2科目と社会1科目で、理科は物理と化学、社会は日本史または世界史を指定する大学が大半でした。
私の選択科目である化学と生物、地理で受けれる医学部は少なかったです。
当時、大学は旧帝大が入る1期校(3月上旬試験)と、それ以外の2期校(3月下旬試験)に別れていました。
当然ですが、1期校と2期校とも落ちてしまいました。
Yさんも文系の大学を受験しましたが、落ちてしまいました。
東京の予備校に行くことになり、新宿セミナーと言うマイナーな予備校に入りました。
駿河台や代々木の予備校に合格する学力はなかったためです。
予備校生が入る寮に入りました。
実は、Yさんの近くに行けると、心の中では喜んでいました。