便器の蓋を閉めてから水を流すと、水を流したときに発生するミストを便器内にとどめておくことができるため、細菌の拡散を防ぐことができると言われている。

ウイルスの場合には、蓋を開けたまま水を流すか閉めてから流すかで、水を流している間のウイルス粒子の飛散量に変わりはないことが新たな研究で明らかにされた。

 

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Impacts of lid closure during toilet flushing and of toilet bowl cleaning on viral contamination of surfaces in United States restrooms.

Am J Infect Control. 2023 Dec 11:S0196-6553(23)00820-9. doi: 10.1016/j.ajic.2023.11.020.Online ahead of print.

 

トイレの水を流すとエアロゾルが舞い上り、周囲の床や壁などのさまざまな表面に細菌をまき散らすことが明らかにされている。

便器の蓋を閉めて水を流すことで、トイレ内での細菌の飛散量を抑制できることも示されている。

しかし、同じことが細菌よりもはるかに小さいことが多いウイルスにも該当するのかどうかについては、いまだ検討されていなかった。

今回の研究では、便器の蓋を閉めてから水を流すことが、ウイルス粒子を含んだエアロゾルの発生とさまざまな表面へのウイルスの付着に与える影響が検討された。

腸管感染の原因ウイルスの代わりとして、人体に無害なウイルス(バクテリオファージMS2)を家庭用トイレと公共トイレの便器にまき、便器の蓋を閉めた状態と開けた状態で水を流し、便器の中の水や、便座、周囲の壁や床などの表面からサンプルを採取した。

その結果、家庭用トイレの水を流す際に、蓋が開けられたままだったか閉められたかにかかわりなく、トイレのさまざまな表面から採取されたウイルスの量に、差はないことが明らかになった。同様の結果は、公衆トイレでも確認された。

 

トイレ掃除の際に、塩酸配合の洗剤を使った場合と使わない場合でのウイルス除去効果についても分析した。その結果、塩酸配合洗剤を使ってブラシで清掃すると、洗剤を使わなかった場合と比べて、便器内の水から検出されるウイルス量が99.99%減少することが示された。

トイレブラシから検出されるウイルス量も、洗剤を使った場合では、使わない場合に比べてウイルス量が97.64%減少していた。

 

この記事の読者欄で、以下の意見がありました。

外国と日本の水洗トイレはかなり違うことが多い。外国の場合、大量の水を便器に落下させ、シブキが上がる。一方、日本では、渦巻き水流で洗うように静かな水流で流す。発生する飛沫も格段に量が違う。日本のトイレでは、蓋をすれば、外国のトイレとは比較にならないほど飛沫が少ないはず。

 

トイレの蓋を開け閉めだけではなく、塩酸配合の洗剤を使って、よくトイレを掃除することが、ウイルスの除去(ウイルスの飛散防止)に最も重要であるとのことです