以前、オリゴメタついて説明されている動画(前編)の内容を紹介しました。

https://ameblo.jp/cherocherotansoku/entry-12781464167.html

 

後編の動画が掲載されていましたので、その内容を紹介します。

全身MRIについてとオリゴメタに対する治療方針についてです。

全身MRIについてのみ紹介します。

https://prostate-cancer.contents.m3.com/specialsite/disease_movie02.html#disease_movie02

 

全身MRIは、2020年3月、保険収載されました。

関連学会の指針に従い、前立腺癌の骨転移の診断目的で、頸部から骨盤部を少なくとも3部位に分けて撮影した場合に限る。3テスラ以上の機器では、検査料1,620点( 16,200円)なので、3割負担で4,860円です。

 

「前立腺癌の骨転移検出のための全身MRI撮影像の指針」(日本磁気共鳴医学会・日本医学放射線学会、令和2年3月23日)

https://www.jsmrm.jp/uploads/files/guideline/zenshinMRIsatsuzoshishin20200323.pdf

 

前立腺癌骨転移に対する画像診断として、骨シンチグラフィが長らく使用されてきたが、偽陽性・偽陰性も多く、全身MRIの有用性が報告されるようになってきた。

欧州がん研究治療機構 (EORTC) では、前立腺癌骨転移検査には、全身MRI もしくはコリン PET(現時点で日本未承認)を推奨しており、骨シンチグラフィは第二選択となっている 。

全身MRI は、骨転移の診断精度が高いだけでなく、低コスト・非侵襲的(無被ばく・非造影)であり、経過観察が特に重要な進行前立腺癌の治療選択に有用性が高い。

2017 年に欧州泌尿器科学会が発表した前立腺癌の骨転移を評価する構造化レポートシステムである MET-RADS-P (METastasis Reporting and Data System) では、骨転移のある症例や遠隔転移のない(他の検査では、遠隔転移の判断がつかない)去勢抵抗性前立腺癌の症例で、全身MRI を推奨している。

 

①本検査は、前立腺癌の骨転移の検出を目的とした広範囲検査。局所的な評価は、別途検査を行う必要がある。

②骨転移以外の病変(前立腺原発巣、リンパ節転移、骨転移以外の転移)の診断能については、十分なエビデンスがない。

③微小病変や活動性が低い病変では、陰性となる可能性がある。

④拡散強調像で、異常信号の部位が全て異常部位とは限らない。脊椎の急性圧迫骨折などでも異常信号を呈する場合がある。

 

一方、骨転移の治療効果の判定にも、全身MRIが有用との報告があります(2017年欧州泌尿器科学会、MET-RADS-P システム)。

演者の施設でも、臨床研究として、骨転移の評価に全身MRIを使っている。

独自に、骨転移の評価に用いるBD scoreと言うソフトを開発した。

今後、治療効果判定に全身MRIを用いた臨床研究の成果が出て来ることが期待されている。

 

以上の講演から、骨転移が疑われる場合には、全身MRI検査を受けた方が良いと思います。

保険収載ではないのかも知れませんが、骨転移の治療効果判定にも全身MRIが有用と思われますので、主治医に相談した方が良いです。