飲酒は、年齢制限はありますが、多くの国で認められています。

「酒は百薬の長」は、中国古代の史書「漢書」から出た言葉で、適度な酒はどんな薬にも勝る効果があるという意味とのことです。

適量の飲酒は、人生を豊にし長生きの効果があると信じられてきました。

 

実は、これは間違いであるとの論文が出て、世界に衝撃を与えました。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/lifestyle/2023/03/post-101066_3.php

 

Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990–2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016.

Lancet. 2018 Sep 22;392(10152):1015-1035. doi: 10.1016/S0140-6736(18)31310-2.Epub 2018 Aug 23.

世界 195 カ国を対象とし、1990〜2016年の間に発表されたアルコール摂取量と疾病リスクについての論文を、統合分析(システマティック レビュー)した。

 

Lancetは、臨床研究論文の分野で、New England Journal of Medicineと並ぶ、世界で最も信頼できる臨床研究論文を掲載する医学雑誌(超一流誌)です。

 

 

目的: 

適量飲酒が身体に良い影響があるかについて、一致した見解が得られていない。

そこで、 世界 195 カ国における 1990~2016 年の発表された研究論文を統合し、飲酒による疾病負荷を網羅的に検討した。

 

方法: 

飲酒に関する 694 研究を統合し、世界の飲酒状況を検討した。また、592 の研究データ を用いて、心筋梗塞や乳がんを含む 23 指標に対する 1 日飲酒量の影響を総合的に評価し、飲酒に起因する死亡および障害調整生命年の推定を行なった。

1日の飲酒量は(Standard drinks daily)、エタノール10g(1杯)刻みで評価した。

 

結果と結論: 

健康へのリスクを最小化する飲酒量は、 1 日 0 杯で(95%の確率で 0~0.8 杯)で飲酒量 と疾患リスクの関連は直線的であることが示された

図で、アルコールの摂取と疾病のリスクは、直線関係にあることが分かります。

つまり、飲酒には閾値(ある一定以上に飲酒すると疾患の発症率が上がる)が無いことが示されました。

適度な飲酒は、心臓をごくわずかに保護するかもしれないが、この利益を相殺する、がんやその他の病気を引き起こすリスクを格段に高める。

健康によいアルコール摂取量というものは存在しない、すなわち、アルコールは、摂取量にかかわらず有害である

この調査は、1990~2016年に発表された195カ国からのデータが掲載された約600の治験論文を集めてメタ解析を行なったもので、信頼性が極めて高い。

政府機関に対し、アルコール飲料の消費に関するガイドラインを改訂するように提案している。

 

本邦でも、厚生労働省が「飲酒ガイドライン作成検討会」で、「飲酒ガイドライン案」を作成しています。

 

 

10gのエタノールは、日本酒(15%)1/2合、ワイン(12%)グラス1杯、ビール(5%)中瓶1本、缶酎ハイ(7%)1/2缶とのことです。

飲酒に害があると分かっても、酒好きには、禁酒することは困難であり、節酒となるのでしょうか。自身も酒好きなので、飲みすぎないようにしています😉