NPO法人腺友倶楽部の代表であり、自身も前立腺がんの患者である武内務さんの最近の講演が、YouTubeに掲載されています。
放射線治療後のPSA再発までの経緯、その後の臨床的再発、受けた検査、治療が詳しく説明されています。
ご存知の方も多いと思いますが、講演の内容を要約します。
武内さんの以前のブログも参考にしました。
https://www.youtube.com/watch?v=e_p0F8yO3UY
http://hige103.main.jp/soulful-world/toubyouki/
初めての受診・・・・・2004年10月、排尿トラブルより前立腺肥大症を疑い受診。
PSA 147
臨床ステージ:C(T3)・・・・皮膜外浸潤が認められる局所浸潤がん。画像上の転移はなし。
針生検:11検体中10検体で陽性(90.9%)
グリソンスコア 9(5+4)
手術は困難と言われ、セカンドオピニオンを受けるとさらに厳しい見通しを告げられる。
強度変調放射線治療(IMRT)に辿り着く。治療期間は、2005年4月中旬~6月中旬。
照射前5ヶ月間、リュープリン+カソデックスを受けた。
経過:
照射後の経過は順調で、副作用はなかった。活動的に過ごされていた。
PSAの最低値は0.58、照射1年後。
照射3年後半から4年後にかけて、次第にゆっくりとしたPSAの増加が始まる。
照射7年半ばでPSA再発と診断される。画像診断を受けていたか不明。
PSAの上限10を目安に、間欠的ホルモン療法を受けた。
照射後14年半ば、治験でPSMA PETを受けた。
骨盤から腎臓までに至る傍大動脈リンパ節に複数の取り込みがあり、多発リンパ節転移と診断される。
前立腺部での再発は不明。
リンパ節転移部への放射線治療を受けるとともに、全身的なホルモン療法が開始され、現在に至る。
ジュピターさんのブログで、類似の経過を知ることが出来ます。
https://blog.goo.ne.jp/jupitergan/m/200704
PSA 10.6
臨床ステージ:T2a
生検:8検体中3検体で陽性(37.5%)
グリソンスコア 7(4+3)
IMRT(トモセラピー)を受けた。
PSAの最低値は0.463、照射約2年後。
以後、右肩上がりで、PSAが漸増する。
照射7年後、PSA再発と診断される、画像検査で確認された。
カソデックス+リュープリンの投与を受け、PSAは感度以下となる。
お二人の経過を見ると、PSA再発に至るまで、PSAはゆっくり漸増して行くようです。
逆に言うと、PSAが上下している場合には、PSA再発の懸念は少ないと考えられます。
PSAの増加が始まる時点で、照射後に残存していた前立腺がん細胞の増殖が開始されるのだと思います。
PSAの増加が始まる時点は、お二人の場合、照射後2〜4年でした。
照射後に前立腺がん細胞が残存したとしても、増殖しなければ良い訳ですが、増殖を抑える予防策は知られていません。
